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最初に、岩波書店の金光翔さんに対する解雇通告(等)に関連して、ウェブ上で目に入ってきた文章を紹介しておきたい。

○片山貴夫のブログ 急報 岩波書店が金光翔さんに「解雇せざるをえない」と通告
○media debugger 岩波書店へのメール3
○全体通信 金光翔氏の解雇を許してはならない
lmnopqrstuの日記
○アンチナショナリズム宣言 モラル無き企業ー東京電力と岩波書店 
○一撃筆殺仕事人:佐高信先生追っかけブログ 信州岩波講座9月に佐高さん講演会、対談。
○こころなきみにも 金光翔への集合暴力(1) 
○横板に雨垂れ 岩波書店へのメール文    等々。

○金光翔さんの「首都圏労働組合特設ブログ」の最新記事はこちらの「岩波書店、「解雇せざるをえない」通知撤回を拒否」


さて、本年4月1日金光翔さんに突如解雇通知を送ってきた岩波書店から刊行されている労働問題関連の本にはどのようなことが描かれ、どのような見解・主張が述べられているのだろう。今回の岩波書店の解雇通知を考える上で、図書館から借りてきた下記の一、二冊の本も参考資料になるのではないかと思うので、一部引用してみる。

まず、笹山尚人著「労働法はぼくらの味方!」(岩波ジュニア新書2009年)。印象に残った箇所をいくつか挙げるが、最初は、解雇について。この本は金光翔さんが解雇の理由として会社から告げられたユニオンショップ制については触れていないが、一般論としては大いに参考になるだろうと思う。解雇について下記のようなことが述べられている。


① 解雇について

「…おじさん(引用者注:職業は弁護士。アルバイトをしている高校生の甥や派遣で働いている姪の悩みに答えて労働法について説明している。)は、それでは、と言ってから、「解雇」の問題について『六法全書』を開きながら説明をしていった。

 「解雇」とは、使用者が労働者に対し労働契約を解約したいと通告することなんだ。本来、期間の定めのない労働契約を解約する場合は、労働者からでも、使用者からでも、一方的に解約通告ができるんだ(民法627条)。この場合、通告から二週間を経過することで、契約関係は自動的に解消されることになる。
 しかし、これをそのまま認めてしまうと、使用者からの解雇の場合、労働者は突然生活の糧を失い、路頭に迷うことになる。これでは不都合なので、解雇については判例上、「解雇権濫用法理」という理論が発達して、規制することになったんだ。つまり、客観的に合理的理由が存在し、それが社会通念上相当として是認できる場合でなければ、解雇は権利の濫用として無効なんだ。
 この場合の「解雇に合理的な理由がある」ことは、使用者の側で主張し、立証しなければならない。


●労働契約法 第16条
 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

つまり「解雇」をするには、合理的な理由、もっと平たく言えば、世間一般の目から見て、「なるほどそれならクビになっても仕方ない」と考えられるような、それ相応の理由が必要となる、というルールが確立しているんだよ 」
「…法の定める「合理的な理由」というのは、たとえば、会社のお金を使い込むとか、その人が責められて職を追われても仕方ないぐらいの非難されるべき行為を言うんだよ。(略) 」


② 次は、職場の「セクハラ・パワハラ・いじめ」に関して。

「 頼子サンは、C社という派遣会社に登録し、D社を紹介され、そこの営業部に派遣されて働いている。主要な仕事は、パソコン入力だが、実際はお茶くみから電話受け、来客対応まで雑務全般を受け持っている。フルタイムだが、「ハケン」なので、定時には仕事を止めて帰ることが許されている。(略)

 ところで、頼子サンは、かねがね、この職場のパワハラに悩まされてきた。川田という直属の上司に当たる営業課長が、頼子サンを「おい、ハケン!」と言って、きちんと名前で呼ばない。そして、「ハケンは気楽でいいよな。俺たちは定時にあがるなんて夢のまた夢だよ」とか「ちゃらちゃらした指輪をつけやがって」といった発言を繰り返す。はては、「ハケンのくせに、こんなこともできないのかよ! 何のために高い派遣料払ってるのかわかりゃしねえ! お前みたいな無能な奴が、社会にいるのは信じられねえよ!」と罵倒する。また、ほかの社員に向かって、「このハケンは、人格的に問題あるからな」と大声で言ったりする。

尚平おじさんがセクハラ・パワハラ・いじめについて説明してくれた。
(略)
 社会的には、たとえばセクハラは「意に反する性的言動」と定義されている。パワハラは、「職場において、地位や人間関係で弱い立場の労働者に対して、精神的又は身体的な苦痛を与えることにより、結果的に労働者の働く権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為」であると定義されている。法の考え方では、セクハラ・パワハラ・いじめは、「人格権侵害」と考えられているんだ。これらの行為は結局、法律上は、ある種の法益を侵害する場合に、許されないということになる。では、どのような法益を侵害するのかといえば、それは、「人格権」と言われているものだ。
 人格権とは、名誉とか、自由とか、人格と切り離すことができない利益のことだ。人格権については、例えば、肖像権やプライバシー権といった形で、裁判所の判例でも認められているんだ。
 つまり、職場においては、人格への攻撃を行い、相手の人格に傷を負わせた状態にすることが、法的には許されないんだ。これに対しては、攻撃を行う本人に対して、そのような攻撃を行うことは許さないと中止を求めること、傷を負った点について、不法行為だからということで損害賠償を求めることができる(民法709条)。この加害行為が、刑法に定める犯罪行為に該当する場合は、加害者に刑事責任が発生する。
 また、企業は、労働者の心身を健全に保つことができるように、職場環境をそれにふさわしいように整える義務があると考えられている。裁判では、使用者には、「労務を遂行するに当たり、人格的尊厳を侵し、その労務提供に重大な支障を来す事由が発生することを防ぎ、またはこれに適切に対処して、職場が労働者にとって働きやすい環境を保つように配慮する注意義務」があるとされた例もあるんだ。就業環境整備義務とか、就業環境調整保持義務とか言われている。これは、仮に使用者が個々の労働者との労働契約においてとくに約束していなくても、労働契約を締結した以上、使用者が労働者に対して当然に負う義務であると考えられているんだ。したがって使用者が、いじめやパワハラが起こっている環境を知りながら放置しているような場合は、企業そのものに、職場環境整備義務違反で賠償責任が発生することになるんだ。
 更にそのことは、労働契約法の定めにも反映しているんだ。平成20(2008)年3月1日施行の労働契約法では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」との条文が定められたんだ(第5条)。
 企業には労働者の心身の健康を保全するため最善を尽くす義務があるという安全配慮義務の考え方は、判例の集積によって、当然視されてはいたのだが、今回、法律でも明文化されたことになる。この条文は、就業環境整備義務については明確に定めたものではないが、この義務が安全配慮義務の考え方のいわば延長線上にある義務であり、男女雇用機会均等法第2条が、使用者に、労働者がセクハラによる不利益を受けることなどがないよう、働きやすい環境を作るよう必要な措置を講ずる義務を定めていることから、就業環境整備義務についても、法律上は存在することが当然視されているんだ。
 したがって、労働契約法に言う「生命、身体等の安全を確保」するということの内容には、人格権が含まれると解釈すべきであり、この条文によって、職場環境整備義務が使用者に課されたと考えるべきだと私は思っている。
 おじさんはその説明に更に付け加えた。
 「この考え方からすれば、先ほど、頼子が説明してくれた言葉の数々は、仕事の内容と無関係に人格を侮蔑する内容だから、人格権侵害と言って差し支えない。発言した川田課長は、率先して職場環境整備義務を遵守すべき立場にある管理職だね。この人の発言を会社は中止させ、また、そのような発言を行わせないような措置を取る義務がD社にはある。だから、頼子は、川田課長個人に対し、慰謝料請求という形で損害賠償を請求することもできるし、職場環境整備義務違反があったということでD社に損害賠償を請求することもできるんだ


③ 労働組合の活動の意味

 「法は、労働組合の活動を強力に保護しているんだよ。まず、憲法だ。憲法は、労働者に働く権利を認める(27 条)と共に、団結権、団体交渉権、団体行動権を保障している(28条)。その基礎に立って、労働組合の活動と発展を保護する見地で、労働組合法が定められている。
 労働組合法では、通常なら民事上、刑事上の責任が発生する場合でも、労働組合の正当な行為(例えば、ストライキ)であればそれは免責するとしている(第8条)。また、使用者は、労働組合の活動の阻害となる不当な行為を禁止されている(同7条)。この中には、「団体交渉の拒否」というのがあって、会社は、労働組合の話し合いの申し入れ、つまり、団体交渉の申し入れについては、拒否してはならないんだ(2号)。
(略)
 法が、このように労働組合の活動を手厚く保障するのはなぜか。労基法第一条二項は次のように定めているんだ。「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、……その向上を図るように努めなければならない」。
 労基法は、自らは労働条件の最低限を定めたにすぎないから、あとは「労働関係の当事者」、つまり労働者側でいえば、労働者とその団結体である労働組合に、がんばってくれよ、というエールを、その第一条で送っているんだね。」

「……労働組合って会社の中にあるものじゃないの?」
「たしかに、日本の労働組合は、そのようなタイプのものが多いな。でも、法律上、労働組合は企業ごとに作られなければならないというルールはないんだ。欧米では、むしろ、企業を超えて、産業全体で労働組合を作る、「産業別労働組合」というのが主流で、日本のように、企業ごとに労働組合を組織するのはイレギュラーなんだよ。だって、そうじゃないか。労働組合が企業ごとに作られていたら、労働組合はその企業の浮沈にどうしても依存することになるだろ。だから、そんなやり方は克服されなければいけないんだ。日本でも、産業だとか、地域だとか、そういったまとまりで、誰でも、どんな雇用形態でも、加入できる、「個人加盟型ユニオン」が近時勢力を伸ばしているんだよ。
 私が言っているのは、真吾も、頼子も、そうした個人加盟型ユニオンにまず加入して、会社に団体交渉を申し入れてもらって、そのユニオンと一緒に会社と話し合う道を進みながら解決を探ったらどうか、ということなんだ。
 真吾は、小林さんはもちろん、職場のほかのみんなにも話してみたらいい。みんなの問題なんだからな。労働組合は、団結が大事。つまり、一人でも多く仲間がいて、会社にそのことで圧力をかけ、話し合いで解決を探るのが一番なんだ。
 頼子も、前沢さんを誘って、入ってみるといい。お前の受けたパワハラや、派遣制度を悪用して雇用のチャンスを奪ったことを、きっちり償わせることを目指すといい。前沢さんの雇用問題も解決できると思うよ。

 法律界の格言に、こういう言葉がある。「法は自ら助くる者を助く」。助けてもらおうと考えるだけではだめなんだ。自分の権利を、自分の手で勝ち取るために、組合に手助けしてもらうんだ。自分で動いてこそ、組合の仲間も助けてくれるし、多くの仲間が増えていくし、世間の人も支持してくれる。法はそういうときに、強大な力を発揮して君たちを守る最強の武器になるんだ」 」

「権利の上に長く眠っている者は民法の保護に値しない」とは、これも岩波書店から出ている「日本の思想」(丸山真男)に引用されていた言葉だったと思う。例としては、お金の貸し借りに関連して述べられていたと記憶するが、この格言も「法は自ら助くる者を助く」と同様決してそれだけにとどまらず、私たちに保障されているあらゆる権利について言えることで、実践によって強固な権利にしていかなければならないと思う。


④ 次に、「岩波講座 基本法学 2 団体」

1983 年刊行のこの本には、「三 労働組合」山口浩一郎著の項にユニオン・ショップ協定と脱退の問題(脱退の自由と制限)についての記述があるので該当箇所を引用する。「内部関係の原則」において、(a)組合員資格、(b)均等待遇、の原則に続いて、(c)脱退の制限 についての原則は以下のように述べられている。

自由意思にもとづく脱退を制限することは、組合員の固有権を侵害し公序良俗(民法90条)に反するものとして許されない。このような組合規約の条項は無効であり、それにもとづく行為は違法である。」(p135)

次に、現状の問題点の指摘だが、「(3)組織強制」の項目で、ユニオン・ショップ協定の問題点が取り上げられている。

「 労働組合が他の社団と異なるのは、加入について組合の側から一定の強制が許されていることである。このような加入促進の仕組みを組織強制といい、それは非組合員に一定の不利益を与える形でおこなわれる。わが国で広くみられるのはユニオン・ショップ協定とよばれるもので、組合員であることを従業員たる地位の維持条件とするものである。それは、通常「会社は組合に加入しない者、組合から除名された者および脱退した者は解雇する」というような表現で労働協約に定められる。
 このような組織強制が適法とされるのは、団結権の保障下においても必ずしも自明のことではない。ユニオン・ショップ協定は従業員でありたいと望むものには組合員であることを要求するものであるから、組合組織の維持・拡大に資することは明白であるが、労働者の方からいえば、特定組合への加入を強制されることになるからである。現に、アメリカではユニオン・ショップ協定は個々の労働者の勤労権を侵害すると考えられ、これを違法とする勤労権立法が制定されており、西欧諸国でもこのような協定は労働者の消極的団結権(組合に加入しない自由)を侵害するものと考えられる傾向が強い。わが国では、勤労権の保障(憲法27条1項)は雇用機会を保障するための国の政治的貴務を定めたものといわれ、団結権の保障(同28条)には消極的団結権は含まれていないと解されているために、このような問題は生じないが、ユニオン・ショップ協定は積極的団結権(組合選択の自由)を侵害するものとして違法ではないかとの疑問が提起されている。 確かに、近時は、少数派組合員を除名して企業外に放逐するなど組合民主主義の観点からみて思わしくない方向にこの協定が利用される例が少なくないが、一般的には組織維持・拡大の機能を否定することができず、労働協約の大多数(90%近く)がこのような協定をおいている現状からみて、一応これを有効とし、適用場面を限定することによって解決がはかられようとしている。判例による実際の取扱いをみても、複数組合併存下の他組合員や組合分裂時の脱退者あるいは一方の組合から脱退して別組合に加入した者などには適用を否定する態度がとられ、ユニオン・ショップ協定の適用場面は著しく限局されている。」(p137)

続いて、「(4)脱 退」の問題点。
「 脱退については公的介入が顕著である。脱退は自由であるというのが通説の立場であり、この自由は社員たる組合員の固有権であるから組合規約をもっても制限できないものとされている。判例も、組合規約に定めがなくとも脱退は自由であり、脱退を制限する旨の規定(例えば、「脱退には執行委員会の承認を要する」)は無効であるとしている。ただし、脱退届の方式、提出先、予告の要・不要等脱退の手続については、組合規約に定めがあればそれに従わなければならない。」(p138)


笹山尚人氏の「労働法はぼくらの味方!」一つ読んでも、岩波書店および岩波労組による金光翔さんへのいじめがどれほど悪質か明らかであろう。組合アンケートの文書のなかには、金光翔さんが労基署の助言・援助も受けて会社に残業代を請求し、勝ち取ったことについて嫌味たっぷりに揶揄している文章もあった。これでは、岩波書店労働組合とはいったい何のための、何を目的として存在する組織なのだろうと疑いをもたないわけにはいかないだろう。

笹山尚人氏が本書で述べている「解雇については判例上、「解雇権濫用法理」という理論が発達して、規制することになったんだ。つまり、客観的に合理的理由が存在し、それが社会通念上相当として是認できる場合でなければ、解雇は権利の濫用として無効なんだ。/ この場合の「解雇に合理的な理由がある」ことは、使用者の側で主張し、立証しなければならない。」という見解は、岩波書店の金光翔さんへの解雇通知についてもそのまま該当するだろう。岩波書店が「首都圏労働組合の実体を自分たちは知らない」という場合、何を指して「実体」と述べているのかを金光翔さんの前に明らかにしなければならない。それも早急に。一人の社員に対し、その待遇を宙ぶらりんにして真綿でじわじわと頸を絞めるようにして苦しめる権利など会社がもっているはずがない。笹山尚人氏にも「労働法はぼくらの味方!」の著者としての発言を期待したい。また、岩波書店の著者の人々にはそれぞれに「さわらぬ神にたたりなし」(?)の状態を脱して言論人、著述家としての真価を発揮してほしいとお願いしたい。
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2011.05.12 Thu l 言論・表現の自由 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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