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昨日、5月17日はとても腹立たしくショックなニュースに二件もであった。両方とも大阪発で、一件は橋下徹大阪府知事の「君が代斉唱」に関するいつもながらの横暴・傲慢発言。日経新聞のウェブ刊によると「地域政党「大阪維新の会」の府議団が5月議会に提出を目指す君が代斉唱時に教員の起立を義務付ける条例案について、大阪府の橋下徹知事は16日、「(起立しない教員は)絶対に辞めさせる」として、強い姿勢で臨む考えを示した。府庁で記者団に語った。」というニュースであった。もう一件は、昨年4月最高裁が「十分な審理が尽くされたとは言い難い」として審理を差し戻した「大阪母子殺害・放火事件」に関するニュース。大阪地裁の差戻し審において最重要証拠になることが確実であった「未検査の吸い殻71本」をなんと大阪府警がとうの昔に紛失していたことが17日に分かった(毎日新聞)というのだ。

いったい何様のつもりだか、国歌斉唱時に起立しない教諭は免職させると言い放った橋下府知事の言行についての感想・意見は別の機会に譲るとして、今日はこの「大阪母子殺害・放火事件」の「タバコの吸い殻紛失」の件を取り上げる。

この事件については最高裁が差戻しを決定した後、読者の方に教えられ、判決文を読んでみたところ、稀にみる公正なよい判決だと思い、当ブログも記事にしたことがある。「「大阪母子殺害・放火事件」大阪地裁に差戻し-最高裁第3小法廷」。その後も差戻し裁判の開始がいつになるのかなどいろいろ気になってはいたのだが、まさか証拠品紛失という事態が起きるとは……。事件の全体像についてご存知ない方もいられるかも知れないので、5月17日の毎日新聞ウェブ版から、事件の概要および今回判明した吸い殻紛失の記事を引用しておく。まず、事件の概要から。


「 ◇大阪市母子殺害事件

 02年4月14日夜、大阪市平野区のマンションの一室から出火、焼け跡から主婦の森まゆみさん(当時28歳)と長男瞳真(とうま)ちゃん(同1歳)の他殺体が見つかった。まゆみさんは森健充被告の妻の連れ子の嫁。検察側は、まゆみさんへの恋愛感情を募らせた森被告が、拒絶されたことなどを憤って絞殺し、瞳真ちゃんを浴槽で水死させて放火したとして殺人と現住建造物等放火の罪で起訴した。最高裁が無罪の余地があるとして死刑を破棄した判決は過去6件しかなく、後に全て無罪が確定している。 」


次に、「未検査の吸い殻71本 府警が紛失」というタイトルの記事。

「 大阪市平野区で9年前に起きた母子殺害放火事件で殺人などの罪に問われた大阪刑務所刑務官(休職中)の森健充(たけみつ)被告(53)の裁判で、大阪府警が被告の足取りに関わる重要証拠のたばこの吸い殻72本のうち71本を紛失していたことが17日分かった。誤って廃棄したとみられる。最高裁は昨年4月の差し戻し判決で吸い殻を鑑定する必要性を指摘しており、差し戻し審での審理に大きな影響が出そうだ。

 事件では、森被告の関与を示す直接的な証拠はなく、検察側は状況証拠の積み重ねで立証を進めた。府警は現場マンションの階段踊り場の灰皿から吸い殻72本を採取し、森被告が吸っていたものと同じ銘柄の吸い殻1本を発見。DNA型鑑定で森被告のものと断定した。

 関係者によると、紛失したのはこの1本を除いた全て。府警はこれら71本を段ボール箱に入れて平野署4階にあった捜査本部の整理棚に置いていたが、起訴から間もない02年12月下旬に紛失が判明。捜査員が24時間常駐する捜査本部から第三者が持ち出した可能性はないとして、誤って廃棄したと結論付けた。

 府警は、公判で弁護側が吸い殻に関する証拠を開示するよう請求した後の04年1月ごろまで検察側に紛失を伝えていなかった。

 検察側は一貫して、森被告のものとされる吸い殻について「被告が事件当日に捨てたもので犯人性を強く示す」と主張。弁護側は「森被告が被害者夫婦に自分の携帯灰皿を渡したことがあり、その中の吸い殻を事件以前に捨てた可能性がある」と反論した。1審の大阪地裁は検察側主張を認めて無期懲役、2審の大阪高裁は死刑を言い渡した。

 しかし、最高裁は昨年4月、「十分な審理が尽くされたとは言い難い」として審理を差し戻した。その際、71本の中に被害女性が吸っていた銘柄が4本あることに注目。差し戻し審で71本を鑑定するよう促し、「被害女性のDNA型に一致するものが検出されれば、携帯灰皿の中身を(踊り場の)灰皿に捨てた可能性が極めて高くなる」と指摘した。裁判官1人は「一致すれば無罪を言い渡すべきだ」との補足意見を付けた。

 検察側が地裁や弁護側に初めて紛失の事実を明らかにしたのは、昨年7月に大阪地裁で行われた差し戻し審の打ち合わせ。弁護側から1審段階で吸い殻に関する証拠の開示を何度も求められた際、検察側は「開示に応じる理由がない」などと拒否していた。【苅田伸宏】 」


最後に、同新聞に掲載されている事件発生から今日までのおおよその経過も引用しておく。

「 ◆大阪・母子殺害事件の経緯◆

02年4月14日 事件発生
   ↓
    中旬   府警が階段踊り場灰皿から吸い殻採取
   ↓
  11月16日 府警が森被告を逮捕
   ↓
  12月7日  検察が殺人罪で森被告を起訴
   ↓
    下旬   吸い殻を入れた箱の紛失が発覚
   ↓
03年3月31日 大阪地裁で初公判
   ↓
  12月    弁護側が吸い殻関連の証拠開示を依頼
   ↓
04年1月    府警が大阪地検に紛失を報告
   ↓
         検察が「開示しない」と回答
   ↓
05年8月3日  大阪地裁が無期懲役判決
   ↓
06年12月15日 大阪高裁が死刑判決
   ↓
10年4月27日 最高裁判決(地裁に審理差し戻し)
   ↓
10年7月    地検が地裁と弁護人に紛失を説明 」


被告人は取り調べ段階から、使いかけの携帯用灰皿を被害者および被害者の夫(被告人の義理の息子)にいくつか渡したことがあり、被害者がその中身を自宅マンションの階段踊り場の灰皿に移したに違いないと訴えていたそうである。警察はそのことを知り、また踊り場の灰皿に在中していた72本の吸い殻のなかに被害者が吸っていたタバコと同銘柄の吸い殻が4本在中していることももちろん知っていたはずなのに、その時点でなぜその4本の吸い殻が被害者のDNAと一致するかどうかを調べようとしなかったのだろう。一致したからといって即被告人の主張が正しいことにはならないが、最高裁の何人かの裁判官によると、写真ではどちらの吸い殻も非常に古びて見えるそうである。特に被告人の吸い殻はもしその階段踊り場で吸ったのだとしたら犯罪当日に吸ったことになるのだから、その一、二日後にそうそう古びて見えるのは確かにおかしいし、また被告人の発言の信憑性を測る上で被害者が愛用していたタバコと同銘柄の4本の吸い殻のDNA鑑定および吸った時期の確定はこの上なく重要だったはずである。

毎日新聞の上記記事によると「府警はこれら71本を段ボール箱に入れて平野署4階にあった捜査本部の整理棚に置いていたが、起訴から間もない02年12月下旬に紛失が判明。捜査員が24時間常駐する捜査本部から第三者が持ち出した可能性はないとして、誤って廃棄したと結論付けた。」ということだが、この府警の説明も不可解である。いとも簡単に「誤って廃棄したと結論付けた。」と述べているが、誰が、いつ、どのような経過で「誤って廃棄した」のか捜査しなかったのだろうか? 被告人が「使いかけの携帯用灰皿を被害者に渡したことがあるので、被害者がその中身を階段踊り場の灰皿に捨てたに違いない」と供述し、被害者の吸っていたタバコと同銘柄の吸い殻も見つかっている以上、71本の吸い殻の行方も法廷で問題になることが分かりきっていたと思えるのに、紛失を一年以上も検察官に隠していたのだろうか? そしてその間、検察も4本の問題の吸い殻について気にも留めなかったのだろうか? 警察に紛失を打ち明けられた時、検察はどのような対処をしたのだろうか? 紛失により処分を受けた警察官はいるのだろうか? 検察は、法廷でなぜ正直に紛失したことを述べなかったのだろうか? 紛失を隠しておいて死刑を求刑する心境はどういうものだったのだろうか? また、これまでの三回の判決――無期懲役、死刑、審理差戻しの判決をそれぞれどのような気持ちで聞いたのだろうか? 

一・二審の裁判官に関しても大きな疑問がある。携帯用灰皿についての被告人の一貫した訴え、被告人の吸い殻が水に濡れたわけでもないのに古びて褐色に変色していたこと、などを総合して勘案すると、4本のタバコが被害者の吸ったものかどうか、もし被害者の吸ったものだったとしたら、時期はいつごろのものか、それを調べることこそ真相究明のための裁判所の主要役割だったと思うのだが、なぜ検察官に4本の吸い殻の提出を命じなかったのだろう。もしそうしていれば、「紛失」の件も法廷の場でとうに明らかになり、事件を見る人々の視線も裁判への関心の度合いも全然違っていたはずなのだが…。一・二審の裁判官の失態もまた重大だと思う。
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2011.05.18 Wed l 裁判 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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