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2008年の大阪府知事選に自民党(古賀誠議員など)がタレント兼弁護士の橋下徹氏擁立に動いていることを知ったときには、驚いた。自民党の支持者だったことは過去一度もなかったと思うが、それでも「そこまで落ちぶれたのか、 自民党!」というような見下げはてた気持ちがしたものであった。当時の橋下氏は、大阪のテレビ番組で視聴者に向かって光市母子殺害事件の弁護人たちに対する懲戒請求を煽動し、その結果、各弁護士会には煽られた視聴者からの懲戒請求が殺到するという騒ぎを引き起こしていた。また、当時、彼のホームページには、「橋下流、交渉術」として、『合法的な脅し』と『仮装の利益』『お願い』の三つが弁護士業遂行上の手法として堂々掲げられていた。これはずいぶん話題になったから多くの人は周知のことだろうが、一応記しておく。

「身に付けていった交渉術が『合法的な脅し』と『仮装の利益』。
 これが僕の交渉方法の8割から9割を占めます。
 最終手段で『お願い』をすることもあります。
 合法的な脅しとは、法律に反しないギリギリのラインで、相手側にプレッシャーをかけることです。
 『仮装の利益』とは、『こちらの要求に従えば、これだけの不都合が避けられますよ』と、実在しない上乗せを示し、相手を得した気分にさせて要求を通すというもの。
 これも合法的な脅しと併せてよく用いる交渉方法です。
 それでも話し合いに進展が見られないときに使う奥の手が、『お願い』です。」


また、これは雑誌の見出しだったのではないかと思われるが、「論理とは詭弁だ 異色の若手弁護士が語る説得法 『詭弁を弄してでも、黒いものを白いと言わせるのが論理的な交渉の醍醐味』と豪語する橋下弁護士 」という文章が今も依然としてネット上に見られるが、ソースは分からない。ただ、上記の文章にも言えることだが、「論理とは詭弁だ」とか「黒いものを白いと言わせるのが論理的な交渉の醍醐味」などというせりふは実に橋下的であり、これが他の誰でもない、橋下氏自身の発言であるだろうことはちょっと疑いようがないように思えるところが、なんとも言えない、個性的である。

「懲戒請求」煽動の問題に話題を戻すと、橋下氏はこの件で二件の訴訟を起こされている。一件目の提起は2008年であり、二件目は2009年で一件目とは別の弁護人19名によるもので、橋下氏と読売テレビを相手に一億円以上の賠償請求がされているとのこと。どちらの裁判も現在進行中のようである。弁護士の阪口徳雄氏は、自身のブログで、二件目の訴訟について、「この裁判は橋下弁護士は再度敗訴するだろう。」と述べている。以下に同ブログからもう少し引用させていただく(/は改行箇所)。

「テレビで、被告人の弁護人の訴訟活動を批判するなら、これは表現の自由の範囲内。/しかし彼は、視聴者に向けて『懲戒請求』を呼び掛けている。/懲戒請求された弁護士らは無意味な懲戒請求でもそれに対応する負担が生じる。橋下弁護士も弁護士である以上、懲戒請求の現実は知っているはず。/しかも、この懲戒請求の呼びかけは、無責任なワイドショーテレビなどが作りだした『世間の意見』に迎合しただけで、弁護士として何の見識も見られない。/弁護士がこの程度のレベルと思われるだけでも、同じ弁護士として恥ずかしい限り!!」

とのことであるが、当たり前の弁護士で阪口氏のこの意見に反論するのは難しいだろう。大阪府知事選は結局橋下氏は無所属で出馬、自民党と公明党は府連レベルで支援したそうだが、「弁護士失格」(刑事にしろ、民事にしろ、裁判を余儀なくされた場合、この人に弁護を依頼しようとする一般市民が何人いるだろうか? たとえタダでも。)としか言いようのないこのような人物を選挙に担ぐことができるという時点で、自民党にも公明党にもあきれはてるのだが、ただここまでくると、もう個々の政党の問題というより、日本の政治土壌の問題であり、これはその腐乱現象の象徴的出来事ではないかという疑いをもつ。


   

橋下府知事が君が代斉唱時に起立しない教員は辞めさせると述べた件について、最初に5月16日の発言を日経新聞から引用する。(強調はすべて引用者による。)

「君が代起立しない教員「絶対辞めさせる」 橋下知事 (日経新聞ウェブ刊5月17日)
地域政党「大阪維新の会」の府議団が5月議会に提出を目指す君が代斉唱時に教員の起立を義務付ける条例案について、大阪府の橋下徹知事は16日、「(起立しない教員は)絶対に辞めさせる」として、強い姿勢で臨む考えを示した。府庁で記者団に語った。
 維新府議団は同日、条例案の対象に府立学校だけでなく、府内の政令市を除く市町村立の小中学校の教職員も加える意向を示した。
 橋下知事は「国歌・国旗を否定するなら公務員を辞めればいい。公務員の身分保障に甘えているだけ」と強調し、「辞めさせるルールを考える」と述べた。維新は条例案に罰則を設けない方針。起立しない教員は地方公務員法に基づく懲戒処分を受ける可能性があるが、最も重い処分の免職の適用は困難との見方もある。
 府教育委員会は2002年に君が代斉唱時の起立を府立学校などに通達し、職務命令違反で懲戒処分とした教員は計7人いるが、処分はいずれも最も軽い戒告。また東京高裁は今年3月、都立学校の教職員167人の処分を「懲戒権の乱用」として取り消す判断をしている。」


次に、翌17日の橋下府知事の発言とこれに対する周辺の反応をスポーツ報知の配信記事から引用する。

「橋下知事「許さない」 「君が代」起立しない教員、全部クビ!(スポーツ報知 5月18日)
 大阪府の橋下徹知事(41)は17日、入学式や卒業式での君が代斉唱時に起立しない教職員に対する免職処分の基準を定めた条例案を、9月の府議会で審議する意向を表明した。橋下氏は「辞めさせるルールを考える。国旗国歌を否定するなら公務員を辞めればいい」と16日に述べており、その具体策として条例化への意欲を示した。大阪府教職員組合は、同様の条例は全国でも例がないと指摘し「民主主義の根幹を揺るがす」と猛反発している。

 君が代斉唱時に起立しない教職員はクビにする―。16日には「身分保障に甘えるなんてふざけたことは、絶対許さない」と強硬発言を繰り返していた橋下知事はこの日、その具体策として条例化に言及。「(校長などからの)職務命令違反を繰り返した場合、段階を踏み停職を入れるが、最後は免職処分とする」と処分基準の考えを示した。

 自身が代表を務める「大阪維新の会」の府議団が、教職員に起立を義務づける条例案を、19日開会の5月議会に提出する予定。維新の会は府議会で単独過半数を占めているため、提出すれば可決する見通しだ。ところが、維新の会の条例案には罰則規定がないため、橋下知事は、その実効性を担保するため、免職処分の手続きを定めた規定の条例化を目指す。

 これに対し、大阪府教職員組合は「大変大きな問題。知事に異論を唱える声を条例で封じる。これはファッショ以外の何者でもない」と指摘。また、「教育文化府民会議」はこの日、条例案の提出を見合わせるよう府議会各会派に求めるなど、反発の動きも出ている。

 大阪市、堺市の政令市を除く府内の公立小中学校教職員の処分権は大阪府教育委員会にあり、従来の規定では、懲戒処分のうちで最も軽い戒告が“上限”。府教委によると、2002年度以降、君が代斉唱に関する職務命令違反で厳重注意か戒告となった教職員は計9人だという。同知事は「免職になるルールを作った後は政治が介入せず、どういう職務命令を出すかは学校現場に任せればいい」とし、最終的な処分の判断を学校側に委ねる意向を示した。 」


いったいぜんたい、こやつは、…いや、この方は、いつの時代のどこの国の専制君主なのかと見紛うばかりの暴君ぶりである。99年に「国旗・国歌法」が成立したとき、当時の小渕首相は「命令とか強制とか、そういう形で行われるとは考えておりません」「児童生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものではありません」と国会答弁し、野中官房長官も「強制的に行われるんじゃなく、それが自然にはぐくまれていく努力が必要と考えております」という旨の答弁をしていた。

現実にはそれ以前から学校現場では学習指導要領に基づく「強制」が行なわれてきており、首相らの発言を額面どおりに受け取る向きは少なかったと思われるが、しかし、国会での答弁は公的発言であり、これは政府による国民・市民への誓い、約束には違いないだろう。第一、「国旗・国歌法」が制定されたからといって、それが入学式や卒業式に国旗・国歌を強制できる根拠になりうるとは法律のどこにも記述されていない。

その後の経過をみると、東京都などは教師を休職処分にまでしたりと常軌を逸した行動が続けられてきたが、とうとう「懲戒免職」の脅しをかける知事まで現れたわけである。橋下氏は府知事選出馬の会見で「石原都知事の政策に感動した。」と述べていたと記憶するが、この強硬ぶりを見ると石原慎太郎の影響もあるのかも知れない。朝鮮学校への都・府それぞれの補助金を他地域に率先して打ち切った点も共通している。橋下知事の場合はわざわざ学校を訪問までして、教員・生徒たちに散々気を遣わせた上での打ち切りであった。なかなかできることではないだろう。

16日に橋下知事は「国歌・国旗を否定するなら公務員を辞めればいい」、「辞めさせるルールを考える」と述べているが、冗談ではない。被告人を弁護するのが職務である弁護士がその役割を忠実に果たしているのに対し、テレビ番組で調子に乗って懲戒請求を煽って騒動を起こすのがせいぜいの弁護士、仕事上の交渉術においては『合法的な脅し』と『仮装の利益』提示を得意としていた弁護士。つい数年前までそのような弁護士であったこの知事から、「国歌・国旗を否定するなら公務員を辞めればいい」といわれる筋合いはない、と教師は内心誰でもそう思うだろう。

「日の丸」「君が代」には日本が他国への侵略を恣にし、他民族を苦しませぬいた戦前・戦中の歴史がいまだに生々しく刻印されているように思われる。もし日本がこれまでに自己の過ちを素直に認めて被害国および被害者に心からの謝罪をし、できるかぎりの補償をしてきたならば、国旗・国歌についての日本人の考えももっと多様にそして自由になり、認識も深められていたのではないかと思う。しかし現実はそうではなかった。「国旗・国歌法」は議論らしい議論もされず、硬直した単調で一本調子の言説が行きかう延長線上で強引に制定されたのだった。理由は一つではないだろうが、日の丸・君が代を素直に受け入れることはとてもできない。そのように感じ、考える人々が存在するのは当然のことだと思う。

逆に、そのような感受性や歴史観が根絶やしになったなら、現状の日本社会はまったく絶望的になるのではないかという気がする。そしてこのような思い、考え方、生きる姿勢を憲法19条の「思想・良心の自由」は個人の正当な権利として許容している。というより100パーセント保証し、支持しているとさえいえると思う。憲法に支持されず、許されていないのは、地位にモノをいわせて個人の尊厳の象徴ともいえる「思想・良心の自由」を踏みにじり、その上、他人のかけがえのない職業、生活の糧でもある職業まで奪おうとする、そこまで思い上がってしまっている橋下知事のほうだろう。歌は強制され脅迫されて歌うものではない。少数意見の存在の価値を知らないリーダーは救いがたい。大阪府議会はこのような恥ずべき条例案の提出をぜひとも拒否してほしい。なんだか、学校の先生も、児童・生徒も、ひいては私たち一般市民も、実は帝国ニッポンの臣民だったのかと錯覚する気分である。
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2011.05.19 Thu l 橋下徹 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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