QLOOKアクセス解析
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
  岩波書店の訂正・謝罪要求について(2)
   「プロパガンダ――佐藤優」

今年の2月2日に岩波書店が、ブログ「私にも話させて」の過去の記述に対して、執筆者の金光翔さんに訂正と謝罪の告知を求めてきた箇所三点のうち、これから残りの二点について検討したいと思う。まず、②から。

② 「『世界』はどうも、このあたりの政治家や官僚・支持勢力のためのプロパガンダ雑誌になってしまっているように見える。」(「陰謀論的ジャーナリズムの形成(3) 佐藤優の売込みを図る岡本厚『世界』編集長」2010年2月1日」

金光翔さんのこの記事によると、徐勝 ・中戸祐夫編『朝鮮半島の和解・協力10年――金大中・盧武鉉政権の対北朝鮮政策の評価』(御茶の水書房、2009年11月)という本に、岡本厚氏も『世界』編集長の肩書きで寄稿されているそうである。金さんは、岡本氏が「その中で驚くべき発言を行なっている」として、以下の文章を紹介している。

「 日本の政治家や官僚にとって,日朝正常化にかかわることは高いリスクを引き受けることになってしまった。小渕政権で内閣官房長官となった野中広務は、「金丸訪朝団のときには,金日成主席が超法規的に紅粉船長らを帰らしてくれたんです。そのときに日本の人たちは感動的な歓迎をしてくれたわけですけれども,間もなく、3党合意の中にいわゆる戦後の償いが入っていたとかいうことで,金丸さんは売国奴のように言われちやったんですね。渡辺美智雄さんが訪朝して食糧支援をやったときも、また加藤紘一さんが政調会長のとき,北朝鮮に食料支援をやったときも,売国奴のように言われた。すべてかかわった政治家がリスクを負うようになっているんですよ」と語っている。

 小泉訪朝を推進した外務省の田中均は,その後メディアから激しいバッシングを受け,そればかりか自宅に爆発物を仕掛けられるという被害を受けている。同じく外務省の佐藤優が,ロシアとの間で北方四島の問題を実際に動かすために政治家とともに動いたことが,メディアから激しいバッシングを受け,逮捕起訴までされた事件を含め,外務官僚が現実を動かすために行動すること自身がリスクを負うことになってしまった。

 抱える問題は,日本国民の脱植民地化という巨大なものであるにも関わらず,その解決のための推進力は極めて弱い,というのが現状である。メディアの責任が大きいが,しかしメディアに働く人々の意識も,また日本人全体の意識を反映しているともいえる。」(同書、191頁)

この本は、2008年5月30・31日に開催された国際シンポジウムで発表された原稿をまとめたものということだが、この「シンポジウムの趣旨が、朝鮮半島の平和的統一を志向したものであることは明らかである」とのことである。金さんは、「発表者だけみても、韓国の有力政治家・発言力を持つ学者など、有力者が多い。この中で岡本は、佐藤を、田中均のような、日朝国交正常化に向けて「現実を動か」そうとした官僚と同列視し、紹介している。これは、要するに、岡本が、佐藤を有力者たちに売り込んでいる、ということではないのか。」と述べているが、岡本氏の文章を読んで、私も思わぬ文脈で佐藤氏の名前が出てきたのにはひどく驚かされた。なぜここで突然佐藤優氏の名前が出てくるのか、何の必然性もないだろう。というより完全に場違いである。それでもあえて佐藤氏の名を出すということは、ちゃんと相応の思惑をもってのことなのだろう。ここで、金さんは朝鮮半島に関連しての佐藤氏のこれまでの発言を詳しく紹介している。そのなかからほんの一部だが、以下に挙げておく。

「日本の外交官にとって重要なのは日本の平和であり、国益だ。戦争が日本に経済的利益をもたらす場合、大きな声では言えないが、戦争を歓迎するというシナリオは当然ある。1951~53年の朝鮮戦争が日本に特需をもたらし、戦後の経済復興において一定の役割を果たしたことを想起してみればよい。」、「僕(注・佐藤)は、朝鮮半島が統一されて大韓国ができるシナリオより、北が生き残るほうが日本には良いと思う。統一されて強大になった韓国が日本に友好的になることはあり得ないからね」、「「北朝鮮が条件を飲まないならば、歴史をよく思いだすことだ。帝国主義化した日本とロシアによる朝鮮半島への影響力を巡る対立が日清戦争、日露戦争を引き起こした。もし、日本とロシアが本気になって、悪い目つきで北朝鮮をにらむようになったら、どういう結果になるかわかっているんだろうな」という内容のメッセージを金正日に送るのだ」 等々。

北朝鮮に関する佐藤氏の発言で私が忘れられないのは、前にも書いたことがあるが、次の文章である。

「 最近、外国のテロ対策専門家が筆者を訪ねてきた。北朝鮮が行う可能性があるテロに対する日本の政治エリート、マスメディアの感覚が鈍いのに驚いていた。その専門家は、「日本警察のテロ対策部門は有能で、取るべき予防措置や広報についてもきちんとした問題意識を持っているのだが、世論の後押しがなく、政治家の理解がないところでは十分な対策をとることができない」との感想をもらしていたが、筆者もその通りだと思う。(略)
 思想戦としてのテロリズムとの戦いを軽視してはならない。この観点から見ると日本は対テロ思想戦の準備が全くできていない。外国のテロ対策専門家は、「日本の原子力発電所の多くが日本海に面しているが、北朝鮮の工作員が上陸して生物・化学兵器で攻撃をした場合の防御策は十分とられているか。原発の警備は民間会社が行っていると承知するが、北朝鮮情勢の緊張を考慮するならば自衛隊が警備するのが国際スタンダードではないか。それから貯水池に対するテロ対策は十分にできているのか」と言う。もちろん関係当局はそれなりの対応はとっているのであろうが、テロの脅威に対する認識は不十分だと思う。
 イスラエルの水資源公団幹部を務めた人物が水の安全保障についてこう述べていた。
「ハマス(パレスチナの原理主義過激派)が貯水池に毒物を混入させるという確度の高い情報が入ってきたのでイスラエルはユニークな対応をとった。エレフアントフィッシュをすべての貯水池で飼うようにしたのである。この魚は、人間にとって有害な物質が水に混入すると、直ちに反応する。貯水池には二四時間体制で監視員を置いて、エレフアントフィッシュの動きに少しでも異常があれば、直ちに給水を中止して調査する」
 これがテロ対策の国際スタンダードなのである。北朝鮮が日本に対するテロ攻撃を仕掛ける場合、貯水池、原発、新幹線などが標的になるのは明白だ。十分な対策をとるべきだと思う。」 (『地球を斬る』2007.1.25)

「外国のテロ対策専門家」が佐藤氏を訪ねてきたのが事実かどうかはともかくとして、そのテロ対策専門家が「北朝鮮の工作員が上陸して生物・化学兵器で攻撃をした場合の防御策は十分とられているか。原発の警備は民間会社が行っていると承知するが、北朝鮮情勢の緊張を考慮するならば自衛隊が警備するのが国際スタンダードではないか。それから貯水池に対するテロ対策は十分にできているのか」と述べたということは、この文章を一読したときも「本当だろうか?」と疑わしく思ったし、今もそう思っている。もしその外国のテロ対策専門家がまともな人物だと想定しての話だが、元外交官とはいえ一作家である民間人に対し、他の国家に関するこれほど重大な話を根拠も示さずにこうも軽々しくしゃべるものだろうか。日本の原発に「北朝鮮の工作員が上陸して生物・化学兵器で攻撃をし」て、北朝鮮にたった一つでも何か得になることがあるというのだろうか。現に3.11東日本大震災に際して北朝鮮は赤十字を通じて義捐金と懇切な見舞いの言葉を贈ってくれている。佐藤氏のこの文章は北朝鮮に対する悪質な誹謗中傷であり、国内的には一種の煽動でもあるように思った。このような噂話が拡がるようなことになると、またも在日朝鮮人が迷惑を蒙るのは目に見えていると思う。

佐藤優氏がこのような発言を平然と続けていることを岡本氏は知らなかったのだろうか? 月刊雑誌の編集長をしている人物がこういうことも知らないなんてないのではないだろうか。だとすると、「趣旨が、朝鮮半島の平和的統一を志向したものであることは明らかである」シンポジウムで、誰かに訊かれたわけでもなく、必要もないのに、小泉訪朝を推進したことで、「その後メディアから激しいバッシングを受け,そればかりか自宅に爆発物を仕掛けられるという被害を受け」た外務省の田中均氏と並べて、わざわざ佐藤優氏の話題を出して佐藤氏を田中均氏と同様の犠牲者のごとく描き出す岡本氏の意図は何なのかと疑念をもたずにはいられない。佐藤優氏に関する岡本氏の話をシンポジウムで聞いた韓国の人々はその佐藤氏がまさか日々上述のような言論活動を行なっている人物だとは想像しないだろう。これは、プロパガンダではないのだろうか。

岡本氏は、「同じく外務省の佐藤優が,ロシアとの間で北方四島の問題を実際に動かすために政治家とともに動いたことが.メディアから激しいバッシングを受け,逮捕起訴までされた」と述べている。つまり、佐藤氏の逮捕起訴と有罪判決は不当だということなのだろうが、岡本氏は一度もその根拠を示したこともなければ、示そうとする意思さえ見せたことがないように思うのだが、どうなのだろうか? もしそのとおりだとすると、雑誌の編集長として無責任きわまりないし、これも一種のプロパガンダというべきものではないだろうか。今からでも遅くはないと思うので、岡本氏および岡本氏と同じ主張をするその他の人々は佐藤氏を冤罪と判断する根拠を『世界』およびその編集長の責任として可能なかぎり指摘し、納得のいく説明をしてほしいと思う。

どうも中途半端なのだが、長くなるので今日はここで終わりにして、後は次回にまわしたい。
関連記事
スポンサーサイト
2011.06.14 Tue l 言論・表現の自由 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://yokoita.blog58.fc2.com/tb.php/150-3a831c31
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。