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  岩波書店の訂正・謝罪要求について(3)
   「プロパガンダ――鈴木宗男、小沢一郎」

岩波書店が金光翔さんに文章の訂正・謝罪を要求している三箇所のうち、前回は、「② 『世界』はどうも、このあたりの政治家や官僚・支持勢力のためのプロパガンダ雑誌になってしまっているように見える。」(「陰謀論的ジャーナリズムの形成(3) 佐藤優の売込みを図る岡本厚『世界』編集長」2010年2月1日」を取り上げた。この文中の「このあたりの政治家や官僚・支持勢力」として金さんが名前を挙げているのは、佐藤優氏の他、鈴木宗男氏や小沢一郎氏という有力政治家であるが、この時点における『世界』最新号には元防衛事務次官で一審で有罪となった守屋武昌氏まで登場しているとして守屋氏の名前も挙げられている。金さんによると、「鈴木や佐藤は言うに及ばず、守屋も、小沢一郎と「防衛利権」絡みで関係が深いことが指摘されている」とのことである。これらの人物のうち、前回実際に取り上げることができたのは佐藤氏だけだったので次に進みたいのだが、その前に少し前回の確認をしておきたい。

岡本氏は佐藤氏について日韓のシンポジウムで、「ロシアとの間で北方四島の問題を実際に動かすために政治家とともに動いたことが,メディアから激しいバッシングを受け,逮捕起訴までされた」と述べているが、佐藤氏の事件をそのような性質のものと断言する根拠、たとえば裁判資料を岡本氏がどこまで検討・追求しているのかなどはこれまで何も語られていないので分からないし、また佐藤氏は右派雑誌やウェブ上で普段から排外主義的主張を繰り返していることは周知のことなのに、『世界』はそのことに一切目を瞑って彼を重用しているのだから、シンポジウムにおける岡本氏の発言も勘案すると、岡本氏および『世界』は日頃から佐藤優氏のプロパガンダをしていると言われても仕方がないのではないかと私には思える。さて他の人々に関する金さんの記述は以下のとおりである。

「 『世界』の最新号(2月号)では、相変わらず鈴木宗男が登場しているだけでなく、元防衛事務次官で一審で有罪となった守屋武昌まで登場している。

鈴木は、以前にも紹介したように、2009年1月26日質問書提出の国会質問で「今般の武力紛争において、パレスチナ側に一千万ドルの緊急人道支援を行うことは、国際社会に対して、我が国はテロ支援をし、テロに加担する国であるというアピールをすることに等しく、我が国の国益を損なうことに繋がるのではないか。」と発言したり、「ハマスがテロリストである事を政府に対して確認する質問主意書」を繰り返し提出したりするなど、イスラエルの国益に沿うように国政に影響を与えようとしている人物である。勿論岡本も、このことを知った上で誌面に登場させているわけである。

鈴木や佐藤は言うに及ばず、守屋も、小沢一郎と「防衛利権」絡みで関係が深いことが指摘されている(野田峯雄・田中稔『「憂国」と「腐敗」――日米防衛利権の構造』第三書館、2009年3月)。念のためにいうと、守屋は『中央公論』2010年1月号にも登場しているから、「発言の場のない人物に機会を提供した」という言い訳も通用しない。

『世界』はどうも、このあたりの政治家や官僚・支持勢力のためのプロパガンダ雑誌になってしまっているように見える。守屋は、佐藤や鈴木のように、一旦は失脚した政治家・官僚がマスコミの力によって社会的に復権する、という事例を踏襲しようとしているようである。 」


守屋武昌氏については私はほとんど知るところがないし、金さんも守屋氏については、今後『世界』がこの人物を佐藤氏や鈴木氏の前例にならって頻繁に起用するのではないかという懸念を表明しているに過ぎず、特に重要視しているわけではないと思われるので割愛させていただいて、鈴木宗男氏に移りたい。鈴木氏については、私もウェブ上のあるサイトで鈴木氏の国会におけるパレスチナ問題に関する質問主意書を読んだことがある。鈴木氏が国会で、金さんが上述しているとおりの言動をしていたことは確かであり、そのサイトの記述によると、この件につき、鈴木氏に真意を問うための質問書を送ってもなしのつぶてだということであった。
http://list.jca.apc.org/public/aml/2009-February/024069.html
http://wind.ap.teacup.com/applet/palestine/msgcate3/archive

このパレスチナ問題について、佐藤氏にいたっては、『インテリジェンス武器なき戦争』という2006年刊行の本で「アラブを贔屓筋にしている人たちは、イスラエルにやられても文句は言えないですよという話です。たとえばアルカイダ、ハマス、ヒズボラのテロリストを支援するような運動をやった場合、これはイスラエルにとって国家存亡の問題ですから、その人は消されても文句は言えない。それくらいの覚悟が求められる贔屓筋の話だと思います。」と述べている。このような思想の持ち主である佐藤氏、そして基本的な考え方、価値観を佐藤氏と共有していることは間違いないと思われる鈴木氏のような人々にとって、長らく世の中で進歩的・良心的な出版社として通ってきた岩波書店による重用ほど有難いことはないのではあるまいか。

岩波書店は、金光翔さんが『世界』は鈴木氏や佐藤氏の「プロパガンダ雑誌になってしまっているように見える。」と書いたことに対し、「自社の出版物の社会的信用を貶め、会社の名誉と信用を守る義務を負う社員の記述としてはなはだしく不適切」として金さんに「訂正・謝罪」を要求しているわけだが、実際に「自社の出版物の社会的信用を貶め」、「会社の名誉と信用を守る義務」を怠っているのは、イスラエルのパレスチナ攻撃を全面擁護する鈴木宗男氏や佐藤優氏をなぜかことさらに重用する『世界』ではないのだろうか? そもそも『世界』は鈴木氏、佐藤氏のこのような言説や行動が何を意味しているのかについて一度でも視野を拡げて真剣に考えてみたことがあるのかどうか、また当の鈴木氏や佐藤氏、特に佐藤氏にその意図や目的も含めた発言の真意を真剣に問うたことがあるのかと訊きたい。

金さんが論文やブログ記事において常に問題にしてきたのは、世の中で進歩的・良心的な雑誌と思われていて、自らも「『世界』は、良質な情報と深い学識に支えられた評論によって、戦後史を切り拓いてきた雑誌です。創刊以来60年、すでに日本唯一のクオリティマガジンとして、読者の圧倒的な信頼を確立しています。」と誇っている雑誌が、人間の生き死にに関わるような重大な政治、社会、人権問題などに関して、佐藤氏のようにメディアの性格によって自己の主張や見解を露骨に(時には微妙に)使い分けるといった行動に顕著なように、いったいその言説のどこに信頼性や傾聴に値する内容が存在するのか分からない言論人を重用することの社会的害悪、読者に対する甚大な悪影響ということであったと思う。ブログ「media_debugger」のこちらの記事によると、東日本大震災以後、最近の佐藤氏は「生命至上主義」を超えるために、新しい思想が必要であるというようなことを述べているようである。少し引用させていただく。

加藤 確かに天皇の言葉は、現場で命がけで働いている人に、強く訴える力がありそうですね。では、たとえば総理にそれを求めるとしたら、佐藤さんならどんな人が浮かびますか?
佐藤 浮かばない。僕は生命至上主義を超えろっていう感覚ですからね。これは「近代の超克」の問題だと思うのですが、合理主義、生命至上主義、それから個人主義、この三つによって融合した戦後のシステムの中だと変われないんです。今回の津波にしても二十三メートルの津波に対応できるように三十メートルの堤防を造ろうという思想とか、マグニチュード九・〇の地震が起きたから、今度九・四に備えろという、これじゃダメなんです。想定したことを超えたことが起きてる。それに対応するためには新しい思想が必要だと思うんです。恐怖を超えないといけない。〔「東電の幹部たち」などの「エリート」を〕萎縮させるのではなくて。そのへんの技法は旧日本陸軍の指導書である「統帥綱領」や「統帥参考」にあるんじゃないかと思うんですよ。」(『en-taxi』(2011年春号)「加藤陽子・佐藤優・福田和也の鼎談」)

まったく異様発言の連続のような「新しい思想」だと思う。試みに、ネットで「統帥参考」を検索してみると、最初の行の「旧軍統帥参考とガリシア緒戦」というサイトには「統帥参考」の内容の一部が引用されていて、これについての執筆者(元軍人?)の解説も付されている。

「23:統帥者の意思は、外に対するのと内に対するのとを問わず、完全に自主自由を発揮せざるべからず。(統帥者の意思は誰にも拘束されない。)

統帥参考は全編このように読んで明らかに軍人官僚の傲慢さと思われるものに満ちている。これは方面軍司令官または陸軍参謀総長は誰にも拘束されず、責任も持たないと表明しているものだ。/これ程までに思い上がった文書はまず他国にも見られない。」

とのことである。佐藤氏は以前にも「国体の本義」とやらを盛んに宣伝していたように記憶するが、今度のものはいっそう毒気が強そうである。「想定したことを超えたことが起きてる。」という発言が嘘っぱちであることはmedia_debugger氏が文中できっぱり指摘されている。佐藤氏には、「二十三メートルの津波に対応できるように三十メートルの堤防を造ろうという思想」がなぜだめなのかを正確に言ってみろと言いたい。「〔「東電の幹部たち」などの「エリート」を〕萎縮させるのではなくて。そのへんの技法は旧日本陸軍の指導書である「統帥綱領」や「統帥参考」にあるんじゃないかと思うんですよ。」とか、「僕は生命至上主義を超えろっていう感覚ですからね。」などの発言も何を言おうとしているのかについては検討が必要と思うが、なんとも奥が深そうである。

脱線気味になったかも知れないが、小沢一郎氏については、『世界』編集長自身が誌上(『世界』2010年3月号)で小沢氏のプロパガンダをしていると読まれても仕方のないことを述べているのではないだろうか。この号では佐藤優氏が歳川隆雄氏と「“権力闘争”を超え民主主義へ」というタイトルで対談を行なっているが、ここで司会役を務めている岡本編集長は、小沢氏について次のように発言している。

「小沢氏が不透明な資金を得て、その政治力としていることは推定できる。しかし、民主党や政権首脳が小沢続投を支持、あるいは沈黙しているのは、メディアがいうように、単に小沢支配への恐怖があるというのみならず、検察の捜査(またそれと一体化したメディア)への不信があるからだろう。」

これでは、とてもジャーナリストの発言とは言えないように思うのだが…。これについての金さんの論評は次のとおりである。

「民主党政権成立後、『世界』権力批判の立場と公正性を消失してしまっていると思われることは、既に指摘してきているが、ここでも同様の問題が指摘できるとともに、その深化を見ることができると思われる。なぜならば、岡本編集長は小沢が「不透明な資金を得て、その政治力としていること」自体は「推定」しているのだから、本来はその「推定」=嫌疑に基づいて、捜査の徹底を要求し、(『世界』をはじめとした)メディアによる小沢資金問題への取材・調査を行なうべきだろう。ところが、それとは180度逆に、岡本は、「民主党や政権首脳が小沢続投を支持、あるいは沈黙している」という事態を積極的に肯定しているのである。」

このとおりではないだろうか。そもそも小沢氏の政治資金問題については、湾岸戦争時以来、今日まで絶えることなく陰に日に疑惑がささやかれ続けてきたように思う。何の見返りも求めないのであれば、誰も常識を超えた額の献金はしないだろうし、小沢氏の場合は政党交付金など、われわれの税金と関連する金銭問題でも不明瞭な点が存在するようである。こちらのサイトによると、「研究者ら46名で小沢一郎らを東京地検に刑事告発しました!」という出来事も今年2月に発生している。この告発がどんな結果になるのかはまだ分からないが、ただこちらの主張・見解には、岡本氏の上記の無根拠な発言と異なり、このような法的問題を扱う際に必要不可欠と思われる実証的姿勢が明らかに見て取れるということだけは言えるように思う。
 
このように見ていくと、前述したように、岩波書店の出版物の社会的信用や会社の名誉と信用を貶めているのは、岩波書店が主張するように金光翔さんなのか、大きな疑問をもたないわけにはいかない。岩波書店の出版物の社会的信用や会社の名誉と信用が落ちているのは事実だと思われるが、その原因は、実は金さんにあるのではまったくなく、金さんが常々批判しているように、出版物の質の低下、要は『世界』編集長など岩波書店を経営する人々の姿勢や、それに追随する岩波書店労働組合の行動などにこそあるのではないかという疑念に行きあたらざるをえないのである。『世界』が「このあたりの政治家や官僚・支持勢力のためのプロパガンダ雑誌になってしまっているように見える。」という金さんの発言は至当であるように私には思われる。
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2011.06.19 Sun l 言論・表現の自由 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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