QLOOKアクセス解析
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
   
金光翔さんは8月24日に控訴棄却された訴訟結果に対し、下記のように最高裁に上告されたとのことである。

「対佐藤優・週刊新潮の訴訟だが、最高裁に上告した。一審、二審ともこちらの訴えをまともに検討した形跡が何ら見られない判決だったが、今度こそ公正な判決が下されることを祈る。」

判決前に弁論が開かれるかどうかが鍵だと思われるが、最高裁には公正な判決のために、手間を惜しまず、ぜひとも弁論の手続きをとるようにお願いしたい。

   
野田新政権で法相に就任した平岡秀夫氏は、昨日(9月13日)記者会見を開き、取調べ可視化について「刑事司法制度全体の見直しの中で一番大きな課題は可視化だ。できるだけ早く結論を出して実行していきたい。全事件、全過程(での導入)が一つの理想」と述べ、また死刑制度については次のように言及したとのことである。

「平岡秀夫法相は13日、報道各社のインタビューで死刑制度について「執行するかしないかだけでなく、制度を国民と一緒に考えたい。国民的な問題提起をどう受け止めるかも考えたい」と制度存廃の是非も含めた国民的な議論を進めたいとの意向を示した。一方で「死刑執行を停止する判断に立つことはできない。死刑執行命令が法相の職責であることは十分承知している」との認識を示した。」 (毎日新聞【石川淳一】)

「死刑執行を停止する判断に立つことはできない。」とは微妙な発言のように感じるのだが、どうだろうか。平岡法相は、就任当日の9月2日には死刑について「大変厳しい刑。慎重な態度で臨むのは当然だ」「国際社会の廃止の流れや、必要だという国民感情を検討して考えていく。考えている間は当然判断できないと思う」(東京新聞)と述べ、執行に慎重な姿勢を見せていた。

昨年7月28日に千葉景子法相の命令で二人の死刑が執行された後、柳田稔、仙谷由人、江田五月の三法相は死刑を命じなかった。これで一年余執行がなされていないわけだが、これは私などには本当によかったと思えることである。東日本大震災勃発、いまだに収束のめどのつかない福島第一原発事故、それに加えてリビアに対し英仏米などの「NATO」は半年間にわたり2万回以上の空爆を行ったとのこと(ブログ「私の闇の奥」による)、これはリビアの人々を無慈悲に殺し、きわめて高度に整備されているというリビアのインフラを無法に破壊した典型的侵略行為だったと思う。

このように未曽有のきびしい出来事が重なり続いた間に、もしも死刑執行のニュースを聞かなければならなかったとしたらさらに陰鬱な心境になっていたように思う。新法相・平岡氏も就任会見で執行に慎重な姿勢をみせていることを知って一先ずほっとしたところだった。

ところが産経新聞は、この会見の後、早速「法相は職責から逃げるな」と新法相にプレッシャーをあたえ、執行をけしかける記事を書いていた。以下のとおりである。

「 死刑執行 法相は職責から逃げるな
 野田佳彦内閣の平岡秀夫法相は就任会見で、死刑執行について「国際社会の廃止の流れや、必要だという国民感情を検討して考えていく。考えている間は当然判断できないと思う」と語った。
 当面、執行はしないと述べたに等しい。だが、刑事訴訟法は死刑確定から6カ月以内に刑を執行することを定めており、「死刑の執行は法務大臣の命令による」と明記している。
 法相に就任してから考えるのでは遅い。職責を全うできないなら、最初から大臣就任の要請を受けるべきではなかった。
 民主党政権の法相は2年の間に千葉景子、柳田稔、仙谷由人(兼任)、江田五月の各氏に続き、平岡氏で5人目となる。この間に死刑が執行されたのは、千葉氏が法相当時の2人だけだ。
 最後の執行以降に16人の死刑が確定しており、死刑囚は過去最多の120人に達している。
(略)
 在任中に一度も執行しなかった江田氏は7月、「悩ましい状況に悩みながら勉強している最中だ。悩んでいるときに執行とはならない」と発言した。
 平岡法相の就任会見の言葉と酷似している。平岡法相もまた、死刑の執行を見送り続けるのではないかと危惧する理由だ。
 国民参加の裁判員裁判でも8件の死刑判決が言い渡され、すでに2件で確定している。
 抽選で審理に加わり、死刑判決を決断した裁判員らは、究極の判断に迷いに迷い、眠れぬ夜を過ごした苦しい日々と胸の内を、判決後の会見などで語ってきた。
 国民に重い負担を強いて、その結論に法務の最高責任者が応えられない現状は、どう説明がつくのだろうか。
 法相の勝手で死刑が執行されないことは、法や制度そのものの否定だ。裁判員の努力に対する愚弄だといわれても仕方あるまい。
 刑は粛々と執行されるべきものだ。法相はその職責から逃げてはならない。 」(2011.9.5 02:55)

ここには、近年、死刑執行に慎重な姿勢をとる法相を批判する場合の論理がすべて揃っているようである。「すべて」といっても、要は、刑事訴訟法は死刑確定から6カ月以内に刑を執行することを定めているので、その職責を遂行すべきで、それができないのなら、最初から大臣就任の要請を受けるべきではない、断るべきであった、という論理なのだが。これは数年前、ジャーナリストの江川紹子氏もたしか『サンデー毎日』でまったく同じことを述べていたと思う。裁判員制度が始まってからは、この論理に加えて、死刑を執行しないのは、苦悩しながら死刑判決を下した裁判員を侮辱するものだという主張が付随するようになった。

だがもし刑事訴訟法の定めるとおり、死刑確定から6カ月以内にすべての刑が執行されていたならば、免田事件、財田川事件、島田事件、松山事件の被告人だった人々は間違いなく無実の罪で殺されていた。その他にも、死刑が確定しながら執行されないまま死ぬまで拘束されつづけた人がいる。有名なところでは帝銀事件の平沢貞通氏がそうである。そして現在も何十年と拘束されつづけている人が何人もいる。名張毒ぶどう酒事件の奥西勝氏、袴田事件の袴田巌氏、等々。これは法務省側に、死刑を確定しながら、たしかに犯人であるという自信がない、あるいは実は犯人でないことが証拠によって判明しているからであろう。また、ある死刑囚が実際に事件に関係があるとしても、事実認定に重大な誤りがあると考えられる場合もありえるだろう。刑事訴訟法に「6カ月以内」の規定があったとしても、それを産経のように杓子定規に捉えたならば、恐ろしい事態が発生するのは間違いない。江川氏は、毒ぶどう酒事件の奥西勝氏の支援をしているようだが、もし江川氏の主張のように「6カ月以内の執行」が実現されていたとしたら、奥西氏はもはやこの世の人ではなかったことは確実なのだが、それについてどう考えるのだろうか。

それから死刑を執行しない法務大臣を「職責を全うできない」人物と捉えることも誤りだと思う。さまざまな理由によりこれだけ死刑廃止が世界の潮流になっているなかで、また国内で死刑事件に関してこれだけ数々の誤判が明白になってきた歴史をもつなかで、法相が死刑制度の善し悪しについて問題意識をもたず、国民に問題提起もできないというのならば、それこそ憂うべき事態だろう。法相だけではなく、首相にだって死刑制度に疑問をもつ人物はいるだろうと思う。産経の論理ならば、そういう人物は首相になるのもよくない? それとも個々の政治家の信条はどうでもいいので、何がなんでも死刑執行が粛々と実行されることだけが重要だというのだろうか? 何のために? 誰のために? 刑事訴訟法には、確かに

「第475条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
2 前項の命令は、判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない。」

と明記されているが、つづいて、

「但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。」

と記されている。また、憲法の保証する「生存権」や「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」に死刑が違反しているのではないかという古くて新しい問題もある。だから、この「6カ月」条項は、決して額面どおりに受け取ってよいものではないのだ。思うにこれは、労基法の「解雇」条項と似た面があるかも知れない。労基法には、

「第20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。 」
 
とあり、これだけを読むと、使用者は、30日前に通告さえすれば、勝手気ままに労働者の解雇ができると錯覚するかもしれない。事実、90年代の半ばに、TBSの「ニュース23」で、当時は確か慶應大学教授だった労働経済学者・島田晴雄氏(現在は千葉商科大学長らしい。こちらを参照)が、

「30日前に通告さえすれば経営者は無条件に社員を解雇できるんですよ。」

という趣旨のことをさも当然だと言わんばかりに話しているのを聞いたことがある。このような法解釈を私は人の口から初めて聞いたので、びっくり仰天。当然スタジオの見解(反論)を聞きたいと思ったが、この時の島田氏はVTR出演であり、その発言の後すぐにCMに入ったので、この件はそのまま終わってしまった。今思うと、島田氏はその後の社会情勢・空気を先取りしていたのかも知れないが、実に恐るべき発言であり、私はしばらく呆然としてしまった。労働契約法16条には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とされる。」と規定されている。また、憲法はさまざまな形で労働者の働く権利を保証している。ところが、労基法の「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。」を読んで、島田氏のような独善的解釈をして堂々と(恥ずかし気もなく)、それを口にする人もいるのである。自分の見たいものしか見ていないと言われても仕方ないだろう。私は、島田氏の解雇に関するこの法解釈と産経の死刑に関する法解釈には共通するものがあると思う。
関連記事
スポンサーサイト
2011.09.14 Wed l 死刑 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://yokoita.blog58.fc2.com/tb.php/163-e119bc4a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。