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リビアの独裁的指導者であったカダフィ大佐が、10月20日とうとう殺害された。8ケ月間におよぶ(反乱軍に対してもそうであったにちがいないが)NATO軍への抵抗であった。殺害以後もそれまでと同様、リビアおよびカダフィに関連するニュース報道は、見るもの、聞くもの、あらゆる情報が曲解・誇張・嘘に塗り込められているように感じられて、苦々しさ、割りきれなさばかりがフツフツ湧いてくる。国際情勢全般に無知なほうゆえ、疑問点や不審点を記すだけのことにしかならないだろうが、思うところを書いておきたい。

報道によると、 反乱軍=国民評議会は拘束したカダフィを、逃亡生活に疲れもはや無抵抗の一人の人間を無法に殺害した。その上その遺体を丁重に取り扱うことも、謹んで遺族に返すこともせず、24日の今日まで見世物に供している。これ以上の人権蹂躙、人間の尊厳への侵害はちょっと考えられないほどである。現状のこのような頽廃のなかから、今後、リビアという国が、そして人口650万というリビアの人々の生活が、これまでよりいくらかでも良い方向にむかうとは想像のつかないことである。この事態を招いたのは英仏米を中心とするNATO軍であった。彼らは今どうしているのだろう。そもそも彼らはいったい誰の許しを得て、また何を目的としてリビア国内にあれだけの凄まじい空爆を繰り返したのだ? ロシアの外相がカダフィ殺害の翌21日に述べたという発言を次に引用するが、これがある種の政治的見解であるにしろ、ごく常識的な、普遍性をもった見方にはちがいないと思う。

「 ロシアのラブロフ外相は21日、ラジオ3局の合同インタビュー番組に出演し、リビアで北大西洋条約機構(NATO)が行った軍事行動について、「国際法の観点から厳密に調査せねばならない」と述べた。外相はこの中で、ロシアが棄権した対リビアの国連安保理決議1973はカダフィ大佐の殺害を目的としたものではなかったとし、カダフィ大佐の車列を空爆したとされるNATOを批判。また、カダフィ氏は「捕われの身になってから殺害された」と語り、カダフィ氏の死をめぐっても国際的な解明が必要だとの見方を示した。」(産経新聞 モスクワ)

NATOの攻撃は、「 10月20日までに航空機の出撃回数は2万6156回、うち、爆撃9634回だった。」(毎日新聞 10月22日)そうである。これが他国への侵略でなければ、他の何が侵略といえるのだろう 。 NATOのラスムセン事務総長は4月11日、ブリュッセルで「作戦のテンポは、 市民が攻撃の脅威にさらされているかどうかに左右される」と述べ、アフリカ連合(AU)代表団がNATOに求めている空爆の即時停止を拒否した(読売新聞 4月1日)。 だが、リビア市民を「攻撃の脅威」にさらしていたのは、はたしてカダフィ側だったのか。4月の時点では、カダフィ側は反乱軍を攻撃はしただろうが、 一般市民を攻撃する理由は何にもなかったはずだ。一般市民の脅威は、カダフィではなくて、NATO 軍の空爆ではなかったのか。藤永茂氏のブログによると、「8月上旬に、NATO空爆による死者2万という報道がちらりと流れたことがありましたが、あり得ない数字ではありません。」とのことである。

カダフィの死を受けて、 米国のオバマ大統領は「カダフィ体制は完全に幕を下ろした」、「リビア国民にとって長くつらい時代の終焉を示すもので、新たに民主リビアで自らの運命を決める機会を手にした」と祝意を表したとのこと。また、「トリポリでは、国民評議会によるカダフィ氏死亡の正式発表前に、街に人々が繰り出し喜びを表し、イスラム寺院で祝賀の祈りが始まった。 」( ウォール・ ストリート・ジャーナル 日本版) という。

米国の大統領が自ら殺害におよんだに等しいカダフィの死について、「リビア国民にとって長くつらい時代の終焉を示すもの」と評する言葉は何ともおぞましく聞こえてくるが、このように、カダフィは長きにわたりリビア国民に横暴のかぎりをつくした悪虐非道の独裁者だという評については、目に入るかぎりのメディアの論調は、世界も日本も見事に共通している。たしかに、権力者は必然的に堕落する、という定義は一般的に真実だと私も思う。古今東西の歴史はその実例で埋めつくされているのだし、そもそも個人としての人間は誰も絶対的権力者としての役割が務まるようには造られていないのではないだろうか。ましてカダフィの場合42年の独裁的統治である。反抗者や一般民衆への弾圧・人権侵害などの腐敗がなかったとは言えないのではないかとも想像する。

とはいっても、実際には現在世界を覆っているあらゆるメディア報道とちがい、カダフィを誇り高い目的と情熱を備えた、なかなかの人物であり政治指導者であると評する意見はあちこちに根強く存在するようである。上述の藤永茂氏は、「カダフィが貧しい黒人国家から運び込んだ傭兵たちがベンガジ周辺でアラブ系反政府勢力を攻撃しているというニュースが頻りと流布されましたが、それは嘘だと思います。カダフィに金で買収されたり、操られてではなく、カダフィを支持して自ら進んで銃を取る黒人兵士がいくらでもいるのです。」と述べている。カダフィが、国内反乱軍とNATO軍の猛攻撃のなか8ケ月もの間粘ることができたのはそのせいだったというのが真相ではないだろうか。

だが、かりにカダフィの統治がメディア報道に近いものだったとしても、NATOがリビアを攻撃する理由にそれがならないことは自明である。東日本大震災の少し前から日本でもエジプトやチュニジアでの民主化を要求する大規模な民衆デモの動向が伝えられていた。その動きはその後リビアにも波及しているとの報道がなされたが、リビアという国の事情について、他の中東・アフリカ諸国同様私にはほとんど知識がないので、最初は、チュニジアやエジプトに次ぐ一般民衆による民主化要求運動の一つとしか認識していなかった。ところが、リビア政府側の民衆弾圧がひどく残酷だという報道がつづいた後、国連安保理がリビアに飛行禁止空域の設定決議をするなど介入の動きを見せはじめた。これはおかしい、と疑問を感じ出したのはそのころからだった。当時流血沙汰の騒乱や警察による市民デモへの弾圧が伝えられていたのはリビアだけではなかったからだ。たとえば、バーレーンがそうであった。2011年3月14日の次の記事を見てみたい。

バーレーンの平和的デモが流血の惨事に
 バーレーンの平和的なデモが、同国の政府の治安部隊や外国の傭兵によって、流血の惨事に発展しました。アルアーラムチャンネルによりますと、バーレーンの治安部隊と傭兵は、デモを弾圧するため、13日日曜、首都マナーマで、デモ隊に催涙弾を発射しました。 アルアーラムチャンネルが13日夕方、放映した映像から、バーレーン 政権の傭兵らは、若者たちをはじめと するデモ隊を近距離から攻撃していたことがわかっています。 バーレーンの大学生数百人が、13日、マナーマの大学に集まり、同国の治安・警察部隊の攻撃を受けました。 バーレーンの治 安・警察部隊は、学生を弾圧するため、催涙ガスやプ ラスチック弾を使用しました。(略) こうした中、サウジアラビアの武装した部隊数千人が、バーレーンの革命家を弾圧するために、こ の国に入っています。 バーレーンの革命家たちは、同国の街頭に繰り出し、治安部隊や傭兵らに対して、断固として立ち向かっています。 バーレーンでは2月14日から、同国の政府の転覆と憲法改正を目的に、大規模な抗議が開始されています。 バーレーンの独裁政権に対する国民の蜂起が始まってから、少なくとも7名が死亡しています。 なお、バーレーンには、アメリカ海軍第5艦隊が駐留しています。」

結果的にバーレーンの死者総数は数百人に達したと言われているが、西側諸国は傍観していた。これを見れば、仏英などの欧米諸国がなぜリビアに対してのみあのような破壊的強攻策をとったのか、疑問を持たずにいるのは無理だろう。リビアのこの事態に対して、キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長は2月21日、「同国の豊富な石油や天然ガスの埋蔵量に触れ、「米国は北大西洋条約機構 (NATO)に命じ、数日中にリビアを占領することをためらわないだろう」とする論文を政府系サイトに寄稿した。同サイトが22日伝えた。リビアでは政府・治安部隊による反体制デモ隊に対する「虐殺」が伝えられているが、 カストロ氏は「世界中にありとあらゆるニュースがあふれ、真実とうそを見極めるには時間が必要だ」と指摘。かつて反米で共闘し た最高指導者カダフィ大佐が「責任を放棄して逃亡するとは思えない」と述べた」。

国連安保理がリビアに対する制裁決議を採択したのは2月26日だが、上のカストロの論文を見ると、彼は国連安保理の決議採択以前にこれから何が起きるかを正確に見透していたことになる。カストロはその翌々日の2月23日には、ハバナでの討論会で、「オバマがNATOといっしょにリビア侵攻もふくめた措置をとる意向をもっているだろう」と述べたとのこと。

カストロはまた、翌月(3月)13日にも自身のサイトで前々日に日本の東北地方で発生した大震災に触れるとともに、混迷するリビア情勢にいっそう深刻な懸念を表明したそうである。

「日本の地震による被害者数は尋常な数字ではないが、リビアの問題がより重大だ」、「日本の悲劇は心配なこと、地震のために様々な建設行為をしている先進国として、千人単位の死者・行方不明者数は異常な数字だ」、「各国が可能な範囲で日本への援助をするだろうが、リビアで起きているもう一つの政治的な「地震」がより重要だ。」、「リビアで起きている悲劇はいま頂点にあり、アラブ世界に生じている革命の波をアメリカとNATOが断ち切ろうとしている。」(110313La Jornada: Libia: mas grave que Japon: Castro)

この (3月13日) 時点では、日本を襲った大地震の被害の甚大さや、その直後に発生した福島第一原発の炉心溶融事故の深刻さは、キューバにはまだ正確には伝わっていなかったと思われるが、今になるとなおさら胸に残るのは、リビアに関するカストロの上記発言の数々である。リビアの豊富な石油や天然ガスの埋蔵量に触れていることや、「米国は北大西洋条約機構(NATO)に命じ、数日中にリビアを占領することをためらわないだろう」 「 オバマがNATOといっしょにリビア侵攻もふくめた措置をとる意向をもっているだろう」「 アラブ世界に生じている革命の波をアメリカとNATOが断ち切ろうとしている」などの発言には、現実に遂行されたNATOの軍事行動を見ると、ただならぬ洞察力を感じる。

CNNのニュース「 カダフィ氏、最後の8カ月間 ( 2011.10.21 Fri posted at: 15:44 JST)」には、2月14日以降、ベンガジでデモ発生、流血沙汰が発生し数名の逮捕者が出た、とか、ベンガジでは兵士の催涙弾や銃弾により死傷者が出た模様だが、その数は不明、などとある。これは、上で引用したバーレーン情報と比較しても、なぜこの時期、国連でリビアに対する決議が採択されるのか、必然性が理解できない。いとも簡単に国連安保理決議を採択し、いとも簡単に空爆に踏み込んだというつよい印象が残る。カストロ談話に真実性を感じるゆえんだが、今後の国際社会において軍事力行使がどのようになされることになるのか、今回のリビアの事態が他地域に悪影響をおよぼすことになるのではないかと不安をおぼえる。

他の参考記事
http://hakuainotebook.blog38.fc2.com/blog-date-201103.html
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2011.10.25 Tue l 社会・政治一般 l コメント (3) トラックバック (0) l top

コメント

同感です
 ただ、この42年間、カダフィには「必然的に堕落」する暇などなかったと思います。毎日が、欧米の帝国主義者の干渉と破壊、そして侵略との戦いだったからです。
 それは、単にリビアの為だけではなく、私たち人類の為の戦いでした。
 私は、医療費や学費を無料にして、国民に手当を支給してくれた指導者を永久に忘れない。
2011.10.25 Tue l 寺田先生. URL l 編集
寺田先生様
>  カダフィには「必然的に堕落」する暇などなかったと思います。毎日が、欧米の帝国主義者の干渉と破壊、そして侵略との戦いだったからです。
不勉強のために確定的なことが言えなくて申し訳ないのですが、この8ケ月間のことを思うと、おっしゃるとおりだったかも知れないと思います。 貴重な内容のコメントをいただき、ありがとうございました。
2011.10.27 Thu l yokoita. URL l 編集
リビアの真実
 リビアの一人当たりのGDPは14,000ドル、日本は42,000ドルである。つまり1/3である。それなのに、どうしてリビアでは医療費や教育費や電気をタダにした上、国民手当まで貰えるのだ。
 それに対して、なぜ日本はこんなにお金があるのに、医療費や教育費、電気やガソリンが高いのだ。なぜ税金や社会保障費をたくさん取られるのだ。その上、派遣切り、津波、原発事故、大気汚染がひどいのだ。
 いったい、80兆円もの国の予算はどこへ消えてしまうのだ。それは官僚や政治家や大企業のボスなどの独裁者の懐に消えてしまうのだ。日本にはこのような独裁者が何万人もいるからだ。
 ところがリビアにはこうした独裁者は一人もいない。カダフィとて、質素な生活に甘んじながら、国民を守るために戦ったのである。しかし、富と権力と血を求めるケダモノが、自ら独裁者になろうとして、ついにカダフィをなぶり殺しにしたのだ。
2011.10.27 Thu l 寺田先生. URL l 編集

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