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先日、「 Sankei Biz 」というあまり見慣れないウェブニュースで、 3月22日付の下記の記事を見た。

独占の富、再分配進むか リビア
リビアの最高指導者だったカダフィ大佐が殺害され、40年以上に及ぶ独裁体制が幕を閉じた。国際社会による制裁措置などに特徴付けられる独裁体制では、国民の生活水準は中東の大半の産油国よりも劣っていた。大佐の死亡により、富の再分配が進むか注目される。

国際通貨基金(IMF)によれば、原油生産がピークの時でも、リビアの1人当たり国内総生産(GDP)は購買力平均ベースでアルジェリアを除き中東のすべての主要産油国を下回った。原油はリビアの輸出全体の95%を占める。

カダフィ大佐はリビアの歳入の一部を、自身のセキュリティーやカダフィ一家に忠誠を誓う兵力の増強に流用した。大佐の家族は残忍な人権侵害に加担することもあった。1996年にはトリポリにあるアブサリム刑務所で1200人が殺害され、人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは「大量虐殺」だと非難した。(ブルームバーグ Gregory Viscusi、Alaa Shahine) 」


見出しの「独占の富」に対してもそうだが、「 国民の生活水準は中東の大半の産油国よりも劣っていた。」「 リビアの1人当たり国内総生産(GDP)は購買力平均ベースでアルジェリアを除き中東のすべての主要産油国を下回った。」 という記事内容に目を疑い、しばし呆然とした。リビアの生活水準は近隣諸国に比べて明らかに高いという声をこれまでにずいぶん数多く聞いていたからだ。医療や教育制度が整い、日常の生活必需品がきわめて廉価であること、などを。この記事のように「劣っていた」という説を聞くのはまったく初めてのことだった。ちょうどそのころ、 前回のエントリーを読んでくださった方からコメントをいただいたのだが、そのなかに 「私は、 医療費や学費を無料にして、国民に手当を支給してくれた指導者を永 久に忘れない。」という言葉があった。この方もリビア国内の生活水準が高いこと、それはカダフィの政策によるものであるとの認識を持っておられることはたしかだろう。どうしてもこの記事はヘンである。この問題に関連してこれまで目にした関連情報をいくつか引用し、紹介しておきたい。まずウキペディアの「リビア」サイトの検索から。

1、
「油田の多くはキレナイカに集中しており、石油の埋蔵量はアフリカ最大といわれている。輸出の大部分が石油で、貿易黒字を維持するために輸出量は調節している。リビアは石油が豊富でありながらも人口が少ないために、一人当たりのGDPはアフリカでは最上位クラスである1万ドルを超える比較的裕福な国であり、先進国に並ぼうとしている。2010年のリビアの一人当たりGDPは12,062ドルであり、 隣国と比べると、エジプトが2,771ドル、スーダンが1,642ドル、チャドが742ドル、ニジェールが383ドル、チュニジアが4,160ドル、アルジェリアが4,477ド ルなのでその格差は歴然である。

独立以前から皮革や繊維、じゅうたん、金属細工などの軽工業が行われていた。独立後、石油収入を基盤に重工業化が進められ、石油精製、製鉄、セメント、アルミ精錬などを行う国営工場が建設されている。

国土の1.2%が耕地となっており、現在でも農業や牧畜に従事する国民も多い。地中海農業やオアシス農業が主な農法であり、1969年革命後の社会主義政権は農業の産業化に力を入れ、深層 地下水をパイプラインで輸送して灌漑を進めている(リビア大人工河川)。」( 「リビア」 )

2、
《アンジェロ・デル=ボカに聞く 「リビアの反乱は古き遺恨の娘である」》 2月25日(金) ルイージ・ネルヴォ記者

リビアの反乱は決定的段階に到達したように思われる。カダフィは軍隊と傭兵に守られた地下壕に閉じこもっている一方、首都周辺においては反乱勢力が都市を制圧し、最後の攻撃を進め る準備に取り掛かっている。リビアの状況について、 この国に関する最高の専門家の一人である、アンジェロ・デル=ボカ教授に話をうかがった。彼は元ジャーナリスト兼大学教師であり、アフリカの国家について、またそれらの地と関わったイタリア人について、多数の著作を刊行してい る。

チュニジアとエジプトの後、アラブの反乱は他国に波及しています。現在ではリビアにもです。こういったことが起こると予測されていましたか?

いいえと言えるでしょう、とりわけリビアについては。かの国をよく知る私にとっても、少々驚きだったのは、一人あたりの年間所得が1万5千から1万8千ユー ロ、近隣諸国の実に三倍という国で反乱が起こったことです。それにリビアにおいては、生活必需品が全面的に統制され、公定価格が決められており、万人に必要なものの価格は非常に安くなっています。所得は中の上であり、実際我々はヨーロッパでリビア人が物乞いをしている姿をまったく見かけません。そうした チュニジア人、アルジェリア人、モロッコ人は見かけられますが、リビア人をまったく見かけないのは、彼らの生活状況がよいからです。〔こうした国に反乱が〕二つの隣国から伝播したらしいことに、非常に驚かされました。」
http://hakuainotebook.blog38.fc2.com/blog-date-201103.html

3、
「寿命・教育・生活水準などに基づいて国ごとの発展の度合いを示すHDI(Human Development Index,人間開発指数)という指数がありますが、2011年度試算では、リビアはアフリカ大陸で第一位を占めています。また、幼児死亡率は最低、平均寿命は最高、食品の値段はおそらく最低です。若者たちの服装もよく、教育費や医療費はほぼキューバ並みの低さに保たれているようです。いわゆるグローバリゼーションを推し進めて利潤の最大化を目指す国際企業群の常套手段は、まず給水機構を私有化し、安価な食糧を運び込んでローカルな食糧生産を破壊し、土地を買収し、現地で奴隷的低賃金労働者を調達し、そこで輸出向きの食糧生産を始めることです。アフリカ大陸の随所に見られるトレンドです。ところが、リビアでは、石油で儲けた金を治水事業に注ぎ、砂漠を緑化し、自国内で安価な食糧を生産しつつあります。これは国際企業群のもくろみに真っ向から逆らう動きであり、放っておくわけには行かないのです。」
http://huzi.blog.ocn.ne.jp/darkness/2011/03/

「いま、「大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国」(日本外務省による呼称)、英語では The Great Socialist People’s Libyan Arab Jamahiriya という一つの国が、私たちの目の前から、姿を消そうと、いや、抹殺されようとしています。「ジャマーヒリーヤ」はカダフィが作った合成語で「大衆による国」といった意味だそうです。私たちがこの国について殆ど何も知らないままに、歴史の一頁がめくられようとしています。しかし、この地域の人たちが、今からアメリカと西欧の傀儡政権の下で味わう事になるに違いないと思われる悪性の変化を予測するに充分な基本的事実の幾つかが明らかになっています。石油産業、治水事業、通信事業などが国営で、原則として私企業にコントロールを許さなかったことが最も重要な事実でしょ う。つまり、WB(世界銀行)もIMF (国際通貨基金)も好き勝手に切り込めなかった国であったことが、米欧の軍事介入による政権打倒が強行された理由です。社会的インフラ整備、教育、医療,生活保障などに注がれていた国家収入は、外国企業と米欧の操り人形であるリビア支配階級の懐に流れて、一般市民のための福祉的出費は大幅に削減されるのは、避けられますまい。カダフィの息子たちに限らず、これまでのジャマーヒリーヤ風の政策を続行しようとする政治家は、オバマ大統領が早くも約束している“民主的選挙”の立候補者リストから、あらゆる手段で排除しなければなりません。前回のブログで指摘したように、ハイチやルワンダがその典型的な例を提供しています。暗殺も極めて有力な手段の一つです。」
http://huzi.blog.ocn.ne.jp/darkness/2011/08/post_8b65.html


リビア問題を報ずる主要メディアのほぼすべては、リビア国民の日常生活の実態、生活レベルについてはこれまでほとんど触れてこなかったのではないだろうか。リビア女性は外出が一人で可能であり、その日常生活は他の中東地域に比べてはるかに自由であるという説を聞くこともあるが、これなどもメディアの報道にはまったく表れないようだ。何事であれ、カダフィの功績や美点を数えることにつながるような事実は表に出さない、話題にもしない。世界中のほとんどのメディアはそのような暗黙の了解を共有していたのではないか。報道すれば、NATOの空爆 の理由と是非、大義の有無が露わになってしまうから、この話題を避けたのではないのだろうか。私たち一般市民が事の善悪、是非を正確に判断するに欠かせないこのような事実を報道しないことも卑怯であり、腹立たしいかぎりだが、上の記事はためにする完全な嘘、捏造された話ではないのかと疑われる。

それから、今回の件で新たに気がかりになることがいくつもあった。日本政府が今にも自衛隊を派遣しようとしている南スーダンの問題がそうである。それからアムネスティ・インターナショナルのこと。アムネスティが、10月21日に発表した「 リビア : カダフィ大佐の死は、終わりではない 」と題された文章を、次に引用する。

「カダフィ大佐の死は、抑圧と虐待が蔓延したリビアの歴史の一時代に終わりをもたらすことになるだろう。しかし、歴史はまだ終わったわけではない、と アムネスティ・インターナショ ナルは述べた。

「カダフィ大佐の死が、彼の政権下で犠牲となった人びとの正義の実現を妨げることになってはなりません。今年起きた暴動における弾圧や、1996年に起こったアブ・サリム刑務所におけ る虐殺など、これまでに深刻な人権侵害を犯した疑いのある多くのリビアの高官たちは、彼らが犯した罪について、責任をとらなくてはならないのです」とアムネスティの中東・北アフリ カ部副部長ハッシバ・ハジ・サラウィは述べた。

「新たな政府は、カダフィ政権が受け継いできた虐待の因習を完全に脱し、リビアで早急に必要とされている、人権の改革に着手しなければなりません」

アムネスティは、同国を暫定的に統治しているリビア国民評議会(NTC)に対し、カダフィ大佐がどのようにして死亡したのか、リビアの人びとに対して事実を完全に明らかにしなければならない、と述べた。

また、カダフィ大佐の死の詳細を明らかにするためには、独立した、公平かつ完全な調査が欠かせないとアムネスティは述べた。

アムネスティはリビア国民評議会に対し、カダフィ大佐の側近や親族を含む、人権侵害や戦争犯罪を犯したと疑われるすべての人びとを人道的に扱い、公平な裁判にかけることを保証する よう求めている。」


アムネスティ・インターナショナルは、リビア問題を惹き起こした張本人はカダフィ政権であり、これはリビア問題の動かせない柱である。政権を担った者たちは今後その責任を負わなければならない。国民評議会の正しさは言うまでもないが、ただしカダフィの死に至る過程には「行き過ぎ」があったかも知れないので裁判で真相を明らかにする必要がある、と主張しているようである。NATOの軍事介入は、是非も責任の有無も一切問われていない。最初から特権的存在扱いされている。けれどもこの8ケ月間、私たちが見せられてきたのはNATOの軍事攻撃に他ならなかった。リビア問題を語るのなら、NATOに触れることなくどんなメッセージを出すことも本来不可能のはずなのだ。それをあえて行なっているので、上記のアムネスティの文面からは、偽善と欺瞞と傲慢のにおいが隠しようもなく立ち上っている。最初に引用した、「 Sankei Biz 」に名前が出ている人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチについては、いかにも胡散くさい団体だと聞くことがあるが(たとえば、こちら)、はたしてアムネスティもそういう組織に変貌しつつあるのだろうか。
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2011.10.28 Fri l 社会・政治一般 l コメント (3) トラックバック (0) l top

コメント

sankeiでは主要産油国と書かれてるのですが・・・よく読みましょうね。リビヤの油質は中東でも上質なのにどういうことでしょうか。カダフィがリビヤにもたらした付加価値などないでしょう。油を掘って売る・・誰でもできますよ。
2011.10.30 Sun l popper. URL l 編集
Re: タイトルなし
popper 様

コメントをいただきましたが、
「 (GDPは )中東のすべての主要産油国を下回った 」というように、記事がリビアを中東諸国と比較して評価していることには私もさすがに気づいてましたよ。しかし、これが事実だとしても、即「 国民の生活水準は中東の大半の産油国よりも劣っていた 」ことにはならないでしょう。ましてや、カダフィが富を「独占」していたことには。

リビアの生活実態は、教育費、医療費は無料、食品の米、小麦、バターなどの必需品はきわめて安価(塩尻和子さんの本によると、2006年時点で、たとえば、米25kg340円、サラダオイル 1kg×24本=1500円、砂糖50kg 425円)に配給され、補助金も出ているそうです。自分で生活を営んでいる人は誰でも感じることだと思いますが、これは生活するのに非常に楽だし余裕がでま す。困窮しても飢える心配がありません。このことはいろんな人が書いてることだし、この「 Sankei Biz 」も知らないはずがなかったと思います。それにもかかわらず、そんなことはおくびにも出さないこの記事の不公正、小ずるさ。他の中東諸国と比べて生活水準を云々するのなら、このような実状を含めた上でやるべき。当ブログでは、そういうことをいちいちあげつらうのも億劫だし、嫌だったので無視し、そういうこともエントリーに盛り込んだつもりでいました。

そもそも「独占の富、再分配進むか」といったら、カダフィが私腹を肥やしていたということでしょう。だったらその証拠を挙げるべきですね。それがまともな報道機関のやることで、「 国民の生活水準は中東の大半の産油国よりも劣っていた」ことは「独占の富」の証拠にも理由にもなりません。

また、リビアは、輸出を調整しているともウキペディアに出てますが、「1人当たり国内総生産(GDP)は購買力平均ベースでアルジェリアを除き中東のすべての主要産油国を下回った。」というのも実はあやしい。「 購買力平均ベース」というところがミソなのかも知れませんが、いわゆる1人当たりGDPはウィキペディアによると、2008年度は、クェート39,849ドル、アラブ38,830 ドル、サウジ23,833 ドル、リビア14,520ド ル、イラン11,250ドル、イラク3,479ドルで、これを見ると「アルジェリアを除き中東のすべての主要産油国を下回った」わけではないように思えます。
2011.11.04 Fri l yokoita. URL l 編集
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2012.07.24 Tue l . l 編集

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