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発足3ヶ月足らずの野田政権だが、この間の動きを見ていると、日に日につよい危うさをおぼえるようになってきている。この政権は文字どおり戦後史上最悪、取り返しのつかない悪政を敷いて終わることになるのではないだろうか。APECで、野田首相は、TPP交渉参加を表明しただけでなく、沖縄普天間基地問題でも辺野古への移設に必要な環境影響評価書の年内提出をオバマ大統領に約束したそうである。沖縄県民の意思と希望を完全黙殺して。現政権に限らないが、近年の政治家には「沖縄県民の理解が得られるように努力する」という発言が多い。これは、「沖縄県民が自ら犠牲になることを承知するように努力する」という意味に他ならないだろう。さらにその先を読むと、「そうしてくれなければ、われわれ政権首脳の米国に対する立場が悪くなるんだから。」ということだろう。自国民を守ろうという気概もなければ、独立精神もまったく感じられない。

野田氏は消費税の10%増税についてもなぜか外国人に向かって決意表明している。その他に、南スーダンへの自衛隊派遣問題もある。 野田氏を初め、現政権閣僚の多くは3.11の大震災と原発事故を菅政権の元で同じく閣僚としてして身をもって体験したはずだ。だが、この人たちにとってそんなことは今となってはもう他人事、過去の話なのだろうか。前首相が何とか脱原発依存という方向性を公的に宣言したにもかかわらず、後を引き継いだ政権は、そんなことはなかったかのように、早々と原発再稼働を決定・推進し、原発輸出も進めている。閣僚一人一人は、あれだけの地震、津波、原発事故から骨身に徹して感じとったもの、学んだものはないのだろうか。

野田政権が強引に押し進めているTPPについていうと、農業は一旦耕作を止めてしまうといざ農作物自給が絶対に必要という事態になったとしても、人も直ちに対応はできないだろうが、農地は不毛の地になってしまっている恐れがつよいのだ。昔、三里塚闘争が盛り上がっていた頃、テレビで見たのだが、なぜここまで強硬に反対するのかと聞かれた空港建設反対派農民の一人である壮年男性が、手で土をひと掴み掬ってそれを上からパラ、パラと落としてみせたことがあった。今もよく覚えているのだが、ツヤツヤと光った粘りけのある焦茶色のその土の見事だったこと。皮膚に吸いつきそうなその土を掌にその人は「これは何十年も丹精込めて耕して初めてこういう土になるんですよ。一朝一夕には決してこうはならんのです。」というようなことを力を込めて語っていたのだったが、白黒のテレビでその土を見た瞬間、どんなことがあってもこの土地を手離すことはできないという心情はいっぺんに分かったような気がしたものだ。TPPは「例外なき関税撤廃」が原則。農林水産省の試算によると、TPPに参加した場合、 日本国内の食料自給率は2010年度の 39%から13%程度に急落するという。これでは、農業従事者の大多数は、 三里塚の農民のように強引に立ち退きを迫られるわけでなくても、実質的には同じ境遇に陥れられることになるのではないか。実際、農産物生産者のなかには、かつての三里塚の農民と同様の心境の人は少なくないだろうと思われる。これは当事者にとってのみならず、消費者にとってもこの上なく不幸なことだ。

野田首相はTPP参加に関連して「私は日本という国を心から愛しています」 、「母の実家は農家で、母の背中の籠にゆられながらのどかな農村で幼い日々を過ごした光景と土の匂いが物心がつくかつかないかという頃の私の記憶の原点にあります」などと発言しているが、前者は場違いな発言としか言いようがない。後者は、昔の女学生の発言かとみまがうほど感傷的であり、珍妙にしか聞こえない。問題は、TPP参加が日本と日本国民・市民にどのような影響を与えることになるかということなのだから、これに即して首相は具体的に応答すべきなのだ。農業の問題でいえば、農林水産省は食料自給率が現在の39%から13%に急落すると述べているわけで、首相である野田氏がこれについて具体的にどのように考えているかということが肝心なのだ。国民皆保険の問題に関しても同様で、大事なのは具体性なのだ。

上の野田氏の発言内容は意図的な話のすり替え、ごまかしなのか、そうでないとすると単に無意味な発言でしかない。野田氏が昔から朝しょっ中駅頭に立っていたことは有名だが、その姿をよく見かけたという人が自身のブログに「 野田佳彦という人 」という記事を書いている。それによると街頭に立った野田氏は政策についてはまったく語らなかったそうである。この人はたまたま高校が野田氏と同窓で、それもあってか選挙はいつも野田氏に投票してきたそうだが、首相就任に際して下記の記述をされている。

「 ずっと野田に投票してきた私だが、実は野田の政策はほとんど知らない。 野田は政策は全く語らないからである。/野田の駅頭挨拶の特徴はまったく演説をしないことにある。/「いってらっしゃいませ。野田佳彦です。よろしくお願いします」/支持者が言うのはそれだけであり、 野田はそれすらも言わない。微笑みながら何度も何度もお辞儀をするだけである。(略)/早大の政経を出て、松下政経塾を出た彼に政策や見解がないわけではないと思う。ただ、主張は必ず敵を作る。選挙活動家としての野田は、「とにかく船橋市は野田」というイメージを市民に与えることのみを留意して、政策はまったく語らなかった。船橋市民で野田に心酔する人はほとんどいないだろうが、彼を批判する人はまったくいない。熱狂はないが好感がある人を野田が目指したのならば、それは成功した。」


政策を語らない政治家とは、歌を歌わない歌手、記事を書かない新聞記者のようなもの、というのは言い過ぎだろうか? しかしどうやら野田氏は首相になってもその手法で押し通すつもりのようだ。国民生活に多大な影響を及ぼすこと必須の政策を国民にはろくろく説明もしないまま自分たちだけで勝手放題に事を進めている。有権者は完全に蚊帳の外に置き去りにされている。日本国憲法前文は、

「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」

と唱っているが、現政権は自民党同様、あるいはそれ以上に憲法を、そして国民・市民を足蹴にしている。

ところで、キューバのフィデル・カストロは、『カストロは語る』(青土社2010年)という本のなかで、2009年にホンジュラスで起きてたちまち失敗したという軍事クーデターについて、それは「中米においてブッシュが作り上げた構造を維持していたアメリカの極右勢力に後押しされ、米国務省によって支持されたものであった。」と述べているが、それとともに、何とそのクーデターの発生は、アメリカがラテンアメリカの各国に押しつけようとしたFTA(自由貿易協定)がうまく行かなかったことが原因だったとも述べている。以下に該当箇所を引用する。

「 帝国[アメリカ合衆国]はクリントン政権以降、FTA(自由貿易協定)を、いわゆる米州サミットを通じてラテンアメリカのすべての国に押しつける計画に邁進してきた。
 しかし、西半球に自由貿易を押しつける思惑は外れた。世界の他の地域の経済は順調に成長を続け、ドルは特権的な通貨としての独占的な覇権を失った。そして容赦ない世界金融危機が状況を悪化させた。こうした状況で、西半球で最も貧しい国の一つであるホンジュラスで、軍事クーデターが起こったのだ。」

このカストロ発言で思い浮かぶのは、韓国と米国の間で締結寸前まで行きながら、現在韓国内ではげしい反対運動がまき起こっている FTA協定のことである。ラテンアメリカ諸国が相手にしなかった米国の貿易協定の話に、 FTAとTPPの違いはあるが、韓国政府も日本政府も、熟慮も議論もなく安易に乗ってしまっているように思えてならない。
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2011.11.16 Wed l 社会・政治一般 l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

野田首相不気味ですね
カストロさんの記事での回答ありがとうございました。
横板さんのブログはどれも,奥が深いですね。

野田さん,不気味ですね。
政策の件を聞いても,国民のために政治を行っているとは思えません。
また,アメリカさんのために政治を行っているとしか思えない最近の行動をみても,自分がかわいいのですね。
自分が政治家になれればよい,今度はアメリカさんに嫌われず,長期間首相ができればよい。なんの力もない日本の庶民のことなど,関心がないように思います。

最近来日されたブータンの国王やカストロさんのように愛に満ちた政治家の,なんと少ないことか。
なんかグチになってしまいましたが。
2011.11.21 Mon l . URL l 編集
Re: 野田首相不気味ですね
林様
お返事遅くなってすみません。

> 野田さん,不気味ですね。

本当にそう思います。発言を聞いていても、「国益の観点から考えて…」とか「日米関係を最大重視して…」とか、いつも決まりきった文句で、それを無感動に、断片的にもらすだけのように感じます。それでいてやってることは、あわてて押し止めたくなるようなことの連続で、ハラハラします。
米国ともう一つは財界の意向が大事なのでしょうネ。

2011.11.24 Thu l yokoita. URL l 編集

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