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昨年の11月、「女性死刑囚」(鹿砦社)という本が出版され、「埼玉愛犬家連続殺人事件」で2009年に死刑が確定した風間博子さんも「女性死刑囚」の一人として取り上げられている。著者は深笛義也という人で、この本の〔著者紹介〕によると、氏はこれまで種々の事件について週刊新潮などの雑誌に取材記事を書いてこられた人だということである。男性死刑囚の総数は戦後750名を超えているが、女性の場合はこの本の執筆時点では13名(その後1名増え、2011年末時点では14名)だという。 この本は目次もふくめてA5版の全141頁で、そのなかに13名すべての女性死刑囚についての叙述がなされているので、紙幅の制約上、風間さんの事件について詳細な検証がなされているとは言い難いが、ただ著者はこの本の執筆のために埼玉愛犬家殺人事件の裁判記録を読み込み、その結果、風間さんについて無実の確信をもったと述べている。 該当部分は以下のとおりである。

「和歌山毒物カレー事件の林眞須美、埼玉愛犬家殺人事件の風間博子には、確たる証拠もなく死刑が言い渡されている。いわゆる状況証拠による判決。だが彼女たちを取り巻い ていた状況をつぶさに見ていくと、むしろ彼女たち二人が無実であることが雄弁に語られているのだ。理知的に物事を捉えられる者には、それが見えるだろう。裁判官も同様の はずだ。だが真実に従って無罪判決を下せば、指弾されるべき捜査の過程が白日の下にさらされてしまう。それを避けるために、無実の者を死刑台に送ろうというのだ。」 (「はじめに」p5)

「女性死刑囚人ーー。この5文字のかもしだす、不思議な語感に惹かれて、書き出した。和歌山毒物カレー事件の林眞須美と、埼玉愛犬家殺人事件の風間博子は無実。公判裁判をくり返し読み込んで、それは確信を持って言えることだが、この本は声高に冤罪を叫ぶものではない。死刑という制度の是非を問うものでもない。 (「おわりに」p139)

刊行されたばかりの本なので引用はできるだけ控えたほうがいいと思うのだが、あえて上の文章を引用させていただいたのは、新聞、雑誌、書籍などの紙媒体で風間博子さんに対して「無実」(この「無実」は死刑判決の根拠である「殺人の共謀・実行」に関してである。)という明快な指摘がなされたのは初めてではないかと思われたからである。実際、風間さんの判決文では一・二審ともにどれだけ膨大な数に上る人間の経験則に反し、現実に反し、そして証拠に反した摩訶不思議な事実認定がなされていることだろう。読みながらいたるところで驚きあきれ、 暗澹とし、時には怒りを抑えきれなくなったりするのである。このような不公正な判決が、それもあらゆる裁判のなかで最大限の慎重さ・丁寧さが要求されていることが疑えない死刑事案において下されているというのに、司法の世界ではほとんど問題にもされていないようなのだ。これは何としても許されないことである。深笛氏には今後もできれば引き続きの取材を期待したい。それから、風間さんは現在控訴審以来の弁護人とともに再審請求に向けて準備中とのことである。

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一昨日(13日)、Twitterで前衆議院議員・松島みどり氏(自民党)の次の文章を見た。

「小川敏夫法相は死刑廃止議員連盟のメンバー。民主党はマニュフェストに死刑廃止を掲げたわけでないのに、こういう人物ばかり法相につける。刑事訴訟法は「死刑確定から半年以内に執行する」と定めているのに、昨年は執行ゼロ。法相が法律を守らない国は法治国家と言えない。」( 2012/01/13(金) )

しかし、新法相の小川敏夫氏は13日の就任会見で死刑執行について「法相の職責であるということをしっかり認識しているので、その職責を果たす」と述べた。

「 小川新法相、死刑執行に前向き姿勢(産経新聞 1月13日(金)22時7分配信)
 小川敏夫法相は13日の就任会見で、死刑について「たいへんつらい職務ではあると思うが、職責をしっかりと果たしたい」と述べ、執行に前向きな姿勢を示した。
 ただ、麻原彰晃死刑囚(56)=本名・松本智津夫=らオウム真理教事件の死刑確定囚については、元幹部の平田信(まこと)容疑者(46)が逮捕されたことから「(確定囚から)証言を聞くこともあり得る。その点を考慮する必要はある」と述べ、死刑執行を当面保留する可能性を示唆した。
 執行が長期にわたって見送られ、確定囚が130人に及んでいることに関しては「執行されないまま確定囚がどんどん増えていくのは法律の趣旨に合っていない」との見解を示した。
 小川氏は裁判官、検事、弁護士の経験を持ち、副法相も務めていた。法務省内では「民主党政権の歴代法相の中では最も推進派」とみられている。」

「小川敏夫法相は死刑廃止議員連盟のメンバー」という松島みどり氏の弁がもし事実で、小川氏が法相の地位を死刑執行の口約束などにより手中にしたのだとしたら、まったくもって信ずるに足りない情けない政治家というしかない。これまでのところ最後の死刑執行の命令を出したことになる千葉景子氏の場合といい、これでは「死刑廃止議員連盟」の存在意義が問われるだろう。頑として執行命令の印を押さなかった杉浦正健氏といい、前任の平岡秀夫氏といい、この人たちは2人とも確か死刑廃止議員連盟には加入していなかったと思う。退任を余儀なくされた平岡氏には本当にお疲れ様でしたとお伝えしたい。昨年は予想もしない3.11の大地震、津波、原発の炉心溶融災害が起きた。2万人近くの人びとの命が一瞬にして失われた。大切な家族を失い、家を失い、仕事を失い、傷つき疲れはてた人が大勢いる。そういう年に無理矢理人命を奪うことである死刑執行がなされなかったことは本当によかったと思うのだが、おそらく平岡氏もそういうことを強く意識されていたのではないだろうか。平岡氏の今後のさらなる活躍を期待したい。

「 小川法相は15日、死刑制度のあり方を検討する法務省内の勉強会について、都内で記者団に「(死刑制度の)廃止や維持の意見は出尽くしている。議論を重ねても同じ意見の繰り返しではあまり意味はない」と述べ、廃止を含めて対応を検討する意向を示した。
 小川氏は「職責を果たすと腹を決めた以上、 (私は)死刑制度の反対論者ではない」と、死刑執行に適切に対処する考えを改めて示した。 」( 読売新聞 2012年1月15日22時41分 )
執行が長期にわたって見送られ、確定囚が130人に及んでいることに関しては「執行されないまま確定囚がどんどん増えていくのは法律の趣旨に合っていない」との見解を示した。

この記事を読んでの感想だが、小川法相は現在死刑執行にかなり積極的であり、そのために死刑に関する勉強会に消極的になって「廃止」を口にしているということはないだろうか。死刑についての意見が出尽くしていると小川氏が考えるのなら、出尽くしたそれらの意見のうちの何を、どのように制度に活かしていくかという課題や論点があるはずだ。それとも、今のままの制度でいい、完璧だということだろうか。最近、日弁連も正面から死刑廃止に動き始めたという話もあるようなのだが。

前回、産経新聞と読売新聞の死刑に対する報道姿勢を批判させてもらったが、松島みどり氏も産経や読売と同じ考え方のようである。いや、産経や読売は「刑事訴訟法は「死刑確定から半年以内に執行する」と定めているのに、昨年は執行ゼロ。」とは言っても、「法相が法律を守らない国は法治国家と言えない。」とまでは主張していないようなので(もしかすると別の場所で述べているかも知れないが。)、松島氏の意見のほうが苛烈かも知れない。

同じようなことの繰り返しになるが、やはり松島氏にも反論しないわけにはいかない。 刑事訴訟法が「死刑確定から半年以内に執行する」と定めていても、この「半年以内」という規定は、日本の司法界では「期日は一応定められている」という緩やかな受け止め方をされて来た。確定囚の再審請求の権利の他に、恩赦の特権もありえるのだから、それらは最大限に尊重されなければならない。人の生命を断つことは取り返しがつかないからである。もし、産経などのメディアや松島氏がいとも軽々と主張するごとくに確定後「半年以内」の死刑執行がなされていたら、 免田事件、 財田川事件、 島田事件、 松山事件の人びとは全員国家に殺されていた。この人たちは死刑確定後早い人でも再審開始決定までに10数年を要しているのだ。また、現在死刑囚として獄中にいる人のなかで冤罪が疑われしてきている人は片手では数えきれないようである。また、特に痛ましいのは、数年前にも無実の身で死刑執行されたのではないかと指摘されている人がいることである。

「 死刑執行・判決推移 」によると、2011年の「新死刑確定数」は24名で、これは年号が平成に移行後の年間死刑確定者数として最多だそうである。この統計表の「新死刑確定数」欄のここ10年間(2002~2011年)の総計は134名である。年平均13.4名。その前の10年間ーつまりほぼ90年代いっぱいということだが、合計で46人。80年代が32人、70年代は39人。30年間の合計数は117人である。年平均3.9人。何とこの10年間に死刑が確定した人の数は、それ以前の30年間(70~90年代)の合計数より17人も多く、いきなり3.5倍に増えている。それもそのはず、70年代に入ってから司法は死刑判決に対して明らかに抑制的になっていて、71年からの30年間死刑確定数が二桁に達した年は一度もなかったのに、この10年では7回もある。異常としか言えないのだが、この理由は何だろうか?

ここで日本の殺人事件の増減に関する統計表を引用させていただく。

 「  日本殺人認知件数
  S25(1950年)2,892
  S30      3,066
  S35      2,844
  S40(1965年)2,379
  S45      1.989
  S50      2,024
  S55(1980年)1.684
  S60      1,780
  H01(1989年)1,308
  H05      1,233
  H10(1998年)1,388
  H15      1,452
  H18      1.309
  H19      1.199
  H20(2008年)1.297
  H21      1.094
  H22(2010年)1.067 ←戦後最低

 ソース 日本の犯罪統計 http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/2010/anzen/hanzai-zenkoku.html 」


お分かりのように、日本の殺人件数は年々減少をつづけている。普通なら死刑判決も減少してよいはずだ。それにもかかわらずのこの急増である。この記事の最初に引用した産経の記事には「執行が長期にわたって見送られ、確定囚が130人に及んでいることに関しては(注:新法相の小川氏は)「執行されないまま確定囚がどんどん増えていくのは法律の趣旨に合っていない」との見解を示した。 」との記述があるが、現在「確定囚が130人 に及んでいる」原因は、「執行が長期にわたって見送られ 」ているからではない。この10年間の年間確定囚の数が過去30年の記録の3.5倍に急増したからである。この間、従来どおりの確定数で推移していたならば、現在の確定死刑囚総数は40人弱だったはずだ。産経も新法相も裁判や裁判官の問題点からおそらくは故意に目を瞑り、これまでの法相の責任に転嫁している。

さて死刑判決急増の理由だが、これはおそらく99年以降の有事法制の成立や新自由主義政策などと結びついた支配方法の一つなのだろう。社会の状態が悪化しきびしくなればなるほど、過酷に取り扱っても誰も文句を言わない立場の者をより過酷に無慈悲に締め上げることは、特に下層の一般大衆を支配するために有効と考えているのではないだろうか。脅しにもなれば、差別化をはかって優越感をあたえることにもなる、古くからの管理・支配手法の一つだ。

死刑確定後6か月以内の執行の義務、とか、法相が法律を守らない国は法治国家と言えない、などと言ってひたすら死刑執行を煽動するメディアや政治家には、上述の冤罪の問題やおそろしい勢いで増えつづける死刑判決についてどう考えるのか、これらがまともな法治国家に相応しい公正なことなのかどうか、教えてほしいものである。

なお、捜査当局の犯罪検挙率が年々下がっているそうだが、これは素人目にも頷けることである。風間さんの捜査のやり方をみると、警察・検察は真相解明よりも、とにかく自分たちが描いたストーリーどおりに被疑者・被告人を動かし、裁判官の力も借りて早く事件にけりをつけて終了したい一心のように思えた。これでは捜査能力は衰退の一途を辿るしかないだろう。裁判官の能力と倫理感も懸念される。
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2012.01.15 Sun l 埼玉愛犬家連続殺人事件 l コメント (3) トラックバック (0) l top

コメント

悪法もまた法なりか?
死刑は合法的な殺人である。法相の職務は死刑執行なんかよりも大切なことが山ほどあるはず。死刑確定囚が何人いようとそれがいったいどうしたというのか?その中には冤罪も含まれていることに触れもせず、まるで間引きするように人の命を数でしか考えられない恐ろしい殺人鬼とこれでは全く変わらない。第一、千葉と同じで小川も何のために死刑反対の立場を今まで取る必要があったのか?これこそ詐欺ではないか。千葉も含め私利私欲に動かされてなのか、こんな簡単に信念を曲げたり立場を変えたりできる風見鶏を法相にするとは日本に未来はないね。死刑執行云々の前に先日某テレビ番組でやってた二俣事件の時代と全く変わらない日常茶飯事の警察の密室の拷問や強制自白やお得意の調書のすり替え問題とか佐賀農協事件の市川元検事の内部告発の内容に基づく検察の倫理観の欠如の問題、証拠捏造の防御策や冤罪を生み出す人間性欠いた裁判官と検察の癒着の問題をまず何とかするべきでしょ。ともかく千葉に続き小川は下の下。それとも千葉も小川も性格歪んだ考えなしのサディストなのだろうか?ただ、ただ恐ろしい。千葉や小川のような人間たちが冤罪事件に巻き込まれて死刑判決受け確定したら、どんな気持
2012.01.21 Sat l 名無し. URL l 編集
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2015.03.17 Tue l . l 編集
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