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(2月15日23時:一番後ろに文章を追加しています。)

今回岩波書店が行なった社員募集の方法の件につき東京労働局の「東京労働局へのご意見」係に自分の意見を書いたメールを送信しました。文面は以下のとおりです。

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 東京労働局 様

いつもお疲れ様でございます。 先日から新聞やネットなどで話題になっております岩波書店の社員募集の件ーー岩波書店が社員の公募に際し「※岩波書店著者の紹介状あるいは 岩波書店社員の紹介があること 」という条件を付けた問題でメールを送らせていただきます。

今月3日に小宮山洋子厚労大臣は「こうした募集方法は聞いたことがない」と述べられていましたが、私なども同様で、大変驚きました。岩波書店は厚労大臣が「早急に事実関係を把握したい。調査してみます。」と発言したことやネット上で広く人々の話題になり議論を呼んでいることに対して、この募集方法の意図を「不況の折りからの経費と時間 の削減のため」とか「意欲のある学生に出会いたかった」などのやや混乱した説明をされていました。岩波書店にとっては外野のこのような反応はどうも予想外のことだったのかと思われます。

就職希望者の立場から眺めますと、岩波書店の著者や社員に対して就職のための紹介状を書いてほしいと頼めるほどに彼ら・彼女らと親しい関係の学生や社会人の数はごくごく一部にかぎられていると思われますし、そもそも岩波書店の著者の定義にしてもそれが具体的に誰を、どんな人物を指すのか一般社会には周知されていないと思われます。私などもせいぜい数人の学者や作家の名前や顔がぼんやり思い浮かぶくらいです。厚労大臣が「調査をしてみます」と述べたり、その他「岩波書店がコネ採用を堂々宣言した」、「紹介状取得という条件は一般学生にはきびし過ぎる」などという批判が出ますと、岩波書店は「小社に入社を希望なさる方は、 岩波書店著者にご相談いただくか、お知り合いの岩波書店の社員に直接ご連絡をください。」と、募集広告に明記されていた異様な文句をそのまま繰り返し(まるで岩波書店の入社希望者は岩波書店の著者や社員と知り合いであることが普通であるかのような言い方に聞こえて実際驚きます。)、そのあと「いずれの方法もとれない場合は、小社総務部の採用担当者(03-5210-4145)に電話でご相談ください。」と述べています。しかし「電話でご相談」といっても、岩波書店自身、自社の採用試験には多い年には1000人近い応募者がいると述べていますので、現実にそういう相談の電話が総務採用担当者に掛かってくるという事態になりますと、当初「経費と時間の削減」のために紹介状制を採ったと述べていた岩波書店は、どのような電話対応をするつもりか知りませんが、いずれにせよかえって膨大な時間と手間を要するようになること必須と思われ、これでは全入社希望者に要求した紹介状はいったい何のためのものだったのか訳が分からなくなります。

以上の経過を見聞きしていますと、岩波書店の社員採用の方法には企業が憲法上、そして社会規範上からも公正・公平な採用選考の手続きをとり、自社への就職希望者に均等な機会をあたえるという実践的責任が求められ科されているということ、企業の選考の自由はそれらの責任を全うした上での自由であり、雇用主だからといって何でもかんでも好き勝手に振る舞えるわけではないという認識が根本的に欠けているように思われます。出版社としての岩波書店は古くから労働問題でも良書を出しているとの社会的評価を得ていますが、そういう出版社であればあるほどこういう背任の責任はいっそう重いはずです。この問題では、岩波書店のどこが悪いんだ、 とか、自分の会社の社員を選ぶのだから好きな方法で選んでいいはずだ、というような意見も見られますが、このまま岩波書店の行為を是と認める「世論」が拡大してはびこるようなことになりますと、日本社会は江戸時代かそれ以前の時代に逆戻りではないかという恐れを感じたりします。

じつは岩波書店の現役社員の方のブログ記事 「 メディア報道における岩波書店の弁明への疑問と批判 」 によりますと、 事の真相は岩波書店が現在自ら説明している内容とは相当異なっているようです。ぜひこの記事もご一読いただき、実態を精査していただきたく思います。

なお、就職試験における「縁故」の問題で行政の改善指導を受けた事例には沖縄振興開発金融公庫の場合があるようです。この公庫は民間企業ではなく特殊法人ですが、行為は岩波が今回行なったことに似ているかも知れません。「職員採用試験の指定履歴書で、 採用の判断に必要のない縁故者の存在の有無と氏名を記入させる項目を設けていた」とのことです。 (琉球新報2002年10月15日

 2月12日

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追記ーー岩波書店の社員選考の方法について、世の中では「岩波にはまったく問題はない」「合理的な選考方法だ」という意見も数多く見られるようである。なかには、「岩波書店より、話を大きくした厚労省のほうが問題だ」という意見・主張まである。次の「岩波書店コネ入社 むしろ「当然」で厚労省介入は「不当」の声」( 2012.02.08)という記事がその代表例ではないかと思う。

「岩波書店の“コネ”入社が騒ぎになっている。入社試験のエントリーに「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」と注釈をつけたからだ。これについて 厚生労働省は「コネを条件にした募集方法は聞いたことがない」として、問題が無いか調べるという。

しかし私が大学を出た25年前でも岩波は「常連筆者の紹介状」をエントリーの条件にしていたように思う。なにを今更だと思うし、年に数人程度しか取らない社員200人の中小企業の採用試験にわざわざ厚労省が乗り出すというのは、岩波のリベラリズムに対する政府の牽制かと勘ぐってしまう。

「就職の機会平等が失われる」という意見があるが、そもそも岩波は高度に専門的な本をメインに出している出版社であり、要求される専門スキルは高く、あらかじめハードルを高く設定するのも理由がある。理系の大学院生が研究室の教授の推薦状をもって企業の面接にいくのに近い。

それに「社員の紹介」とも書いている。受験したい学生は普通にOB訪問して紹介状を書いてもらえばいいだけだ。他企業のリクルーター式就職と変わらない。OBがいない大学生は編集部に手紙を書くなりしてアプローチすればよい。何のツテもない筆者に手紙を書いてアプローチするのはどんな編集者でも毎月のようにやっている作業である。」(ノ ンフィクション・ライターの神田憲行氏)

この意見は、岩波の立場、入社希望者の立場、世の中にあたえる影響など諸々の問題点を丁寧に見ていくというより、はじめから岩波書店の立場にたって発言している人のもののように思える。「 25年前でも岩波は「常連筆者の紹介状」をエントリーの条件にしていた 」ことを神田氏は岩波擁護の根拠にしているが、私などはこれが事実なら岩波書店は当時から大きな問題を孕んだ出版社だったのではないかと思う。神田氏は「 岩波は高度に専門的な本をメインに出している出版社であり、要求される専門スキルは高く、あらかじめハードルを高く設定する 」とも述べているが、仮に岩波書店が「要求される専門スキル」が高く、採用に際して高いハードルの設定が必要な会社だとしても、その設定内容が著者の紹介状の提出というのでは、これが公募である以上まったく不適切だろう。なぜなら知り合いでもない著者に就職のための紹介状をもらいたいとは相手の負担や迷惑を考えてなかなか言えないというのが人の、特に若い人の一般的な心理だろう。また著者のほうでも実際よほどのことがなければ見ず知らずの人間に紹介状は書かないだろうと思う。だからこの紹介状の問題についての岩波書店の説明は最初から妙なのであるが、岩波社員の紹介状についての「 受験したい学生は普通にOB訪問して紹介状を書いてもらえばいいだけだ」という神田氏の言い分もあんまりだ。今回の募集に当たって岩波書店は社員の出身校のことなどには何も触れていない。就職希望者は岩波に自分のOBが在籍しているかどうかも分からないのに訪問などしようがない。それから「…わざわざ厚労省が乗り出すというのは、岩波のリベラリズムに対する政府の牽制かと勘ぐってしまう。」という言い分には正直あきれる。これは私も今回東京労働局のホームページを見てはじめて知ったのだが、東京労働局の事業のなかには「公正な採用選考」という部門があるのだ。これを見ると、厚労相が岩波書店の採用選考問題に敏感に反応したのは当然だったのだろう。神田氏が岩波書店をリベラリズム、すなわち、自由や平等や社会的公正を指向している出版社だと思うのなら、厚労省に妙な勘ぐりをするより、岩波書店の言行不一致ぶりを指摘するのが自然だったように思う。
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2012.02.15 Wed l 社会・政治一般 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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