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光市母子殺害事件の最高裁判決は元少年の上告を棄却する理由の第一番目に、彼が「差戻し控訴審で、故意や殺害態様について不合理な弁解をしており、真摯(しんし)な反省の情をうかがうことはできない。」点を挙げている。判決が指摘する「不合理な弁解」のうちの「故意」の問題については前回すこし取り上げた。被害者方を訪れる前にアパートの呼び鈴を押して回った行動について、元少年は差戻し控訴審に入ってからそれまで認めていた「美人な奥さんと無理矢理にでもセックスをしたいと思って」との自白を否定し、「戸別訪問をしたのは人との会話を通じて寂しさを紛らわせるなどのためであり,強姦を目的とした女性物色行為ではなかった」と新たな供述を行なった。最高裁がいう 「故意」についての「不合理な弁解」とはおそらくまず第一にこの供述の変化および新たな供述内容を指しているのだと思われるが、この件について私は前回元少年のそれまでの供述より新供述のほうがはるかに自然で合理的であるように思えると述べた。

その理由は、少年にはこれまで一度も女性との交際・交渉の経験がないこと、 彼は普段少数の友達とゲームをして遊ぶことが多かったらしいが、家庭や学校の内外で女性を襲ったり追跡するなどの性に関する問題行動はまったく報告されていないこと、小学生や中学下級生くらいまでの少年のなかには悪戯や退屈凌ぎのために余所の家のチャイムを鳴らし、家人が玄関に出て行くと隠れたり逃げたりするような行動をする子が時々いるが、 家庭裁判所の「少年記録」に「IQは正常範囲だが、精神年齢は4,5歳」 と書かれていたことが示すように実年齢より精神が幼かったことは明白と思われる彼には友達と待ち合わせの約束をした3時までの時間潰しのためにこのような着想をしたとしてもさしてギャップは感じられないこと、当時の彼が家族には会社に行っていると思わせながら入社したての会社を休みつづけていたことはたとえ無意識にせよ相当な疎外感や罪悪感などの不安が彼の内部を占領していたにちがいなく、これらを考え合わせると、時間潰しの他に気分転換や漠然とした人恋しさのためにアパートの呼び鈴を押し、声を掛けて歩いたという説明のほうが、たとえ彼のなかに女性や性への関心・欲求があったとしても、強姦目的の行動と説かれるよりははるかにリアリティと自然さを感じる。

今回の最高裁の上告棄却は3対1の多数決で決定されたそうだ。上告棄却に反対して再度の審理差戻しを主張した宮川光治裁判官の反対意見、 多数派の金築誠志裁判官の補足意見については後で言及したいと思うが、ここでは最高裁が支持した差戻し控訴審は少年のアパート訪問の動機についてどのような判断をしたかをもう少し細かく見てみたい。数字の①、 ②は引用者加筆。

 ① 「 野田教授は、強姦という極めて暴力的な性交は一般的に性経験のある者の行為であり、性体験がなく、性体験を強く望んで行動していたこともない少年が突然、計画的な強姦に駆り立てられるとは考えにくいなどとして、強姦目的の犯行であることに疑問を呈している。 しかし一般論として、性体験のない者が計画的な強姦に及ぶことは、およそあり得ないなど言えない。」(差戻し控訴審判決)

 ② 「 犯行計画というものは、その程度がさまざまである。本件のように、襲う相手も特定されておらず、相手を襲う場所となるはずの相手の住居も、その中の様子も分からないという場合、 犯行計画といっても、それは一応のものであって、実際には、その場の状況や相手の抵抗の度合いによって臨機応変に実行行為がなされるもので、あらかじめ決めたとおりに実行するというようなことが希であることは多言を要しない。」( 同 上 )

① について。元少年の精神鑑定を行なった精神科医の野田氏は法廷で、性経験を持たない少年が白昼近所のアパートを訪問して女性を探し、強姦してでも性行したいという衝動に駆り立てられることは考えにくい、と元少年の日常やその時・その場の状況を前提に置いて証言しているのに対し、判決は「しかし一般論として、性体験のない者が計画的な強姦に及ぶことは、およそあり得ないなど言えない。」と反論している。しかしこれは反論にもならない無意味な発言ではないだろうか。野田氏の見解は経験則・論理則の見地からみてごく常識的な内容のものだろう。これに反論し、その証言を退けるのに「およそあり得ないなど言えない。」の一言で済むのなら、裁判官の仕事は誰にでもできると思われる。そりゃあ確かに「性体験のない者が計画的な強姦に及ぶこと」がないとは言えないので、それ自体は誤りではないだろう。けれどもそのとき元少年にはいかなる意味でも具体的な対象・目当ての女性が皆無なのだ。相手が知人や顔見知りの間柄の場合は何かの機会に偶然二人だけになったのを利用して乱暴したり、赤の他人の場合は、たとえば夜道で偶然すれちがった初対面の女性を人通りが絶えているのをいいことに暴力的に暗がりに引きずり込む、など(イヤな話ばかりで恐縮だが)、ともかく相手の意思を一切無視し蔑ろにすれば自分の欲望のままに暴行が可能と思える状況ーー別の面からいうと、具体的に相手の顔・姿を確認している(もしくは、確認した)状態ーーがあってはじめて強姦の意思は形成されるのではないかと思う。しかし今少年の目の前にあるのは昼間の社宅アパートの建物であり、彼に女性との性経験がないのであればなおさら、この場で強姦も辞さないほどの強烈な欲望に駆られ、即、その実現のために排水検査員を装うという計画を立て(朝から会社の作業服を着ていることも暴行計画に利用できるとただちに思い付き)、すかさず行動に移したというこの判決はちょっと納得しがたい。被害者女性が23歳の若い母親だったために、私たちは実際にそのアパートにそういう女性が住んでいることを知っているが、おばさんやおばあさんばかりが住んでいることもありえる。少年がこのとき何の具体的手がかりもないのに抽象的な「美人な奥さん」が住んでいると妄想し、その妄想を「襲う」というところまで膨らませていったというのは現実問題としてひどく無理があると思う。それにもし彼が呼び鈴を押して回って女性を物色し、強姦してでも目的を遂げようとしたというのなら、むしろこれまでの彼が何らその種の問題行動を起こしていないことの説明がつかないと思う。

②については、この部分の判決文を書きながら裁判官は不審を感じなかったのかと私は読みながら大変不審に思った。「本件のように、襲う相手も特定されておらず、相手を襲う場所となるはずの相手の住居も、その中の様子も分からないという場合、 犯行計画といっても、それは一応のものであって、 」という判決文には今も不思議の感に耐えない。 判決文中の「襲う」を「強盗する」に置き換えて考えてみれば、この判示の奇妙さがよく判ると思う。「襲う相手も」「場所となるはずの相手の住居も」「その中の様子も分からない 」 強盗計画がもしありえないのであれば、同様の強姦計画もありえないのではないだろうか。少年はアパートの各戸住人に対し、「玄関で「排水検査に来ました。トイレの水を流してください。」などと言うのみで、その住民が水を流して玄関に戻っても、会話しようという素振りもなく立ち去ったり、住民がトイレの水を流している間に玄関に戻って来るのを待つことなく立ち去っている。」という態度だったそうで、その素っ気なさを捉えて裁判所は「寂しさをまぎらわせるためなどの訪問だった」との供述と合致していないことを指摘し、新供述の信憑性を否定しているが、人とのコミュニケーションがそんなに自分の計画どおり、思いどおりに行くのなら、少年は昼間からこんなところでぶらぶらしておらず、入社した会社にちゃんと通勤していただろうし、このような事件を起こすこともなかっただろう。アパートでの彼の態度は、もしも彼が強姦計画を持っていたと仮定すると、私は裁判官とは逆に少年の態度の大っぴらさにむしろ驚く。多くの住人に対して会社の作業服を着て、顔をさらし、なりすました排水検査員としての言葉も発している。ここでちょっとでも騒ぎなどを起こせばたとえ逃げても自宅はすぐ近くなのだから身元が割れると考えなかったとしたら、そのほうがどうかしているだろう。アパートを回って歩く少年には強姦の計画も意思もなかったように私には思える。
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2012.02.29 Wed l 裁判 l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

良記事ですね。
(^o^)/

いつか引用させていただきます。

東電OL殺害事件のゴビンタ被告の精子は、再鑑定の結果別人のものでした。

今回のPC乗っ取り事件も容疑者に対し、検察の自白の強要や誘導がありました。

神戸連続児童殺傷事件も中学生を無理矢理犯人に仕立てあげました。

足利事件や処刑された宮崎はやおさんのように、知恵遅れなどの精神障害者に冤罪を押し付けるのは、早く帰って酒を飲みたい?警察、検察の常套手段のようです。

光市母子殺人事件も冤罪の可能性が高いですね。
検察、警察の中に真犯人(または共犯者または協力者)がいる可能性も考えるべきです。

①殺人犯は別にいて、福田被告は死姦しただけ。

②精液のDMA鑑定が間違い。

③真犯人と福田被告のDMA鑑定結果が意図的にすり替え、または改ざんされた。

古くはロッキード事件など、検察は冤罪を平気で作り上げます。
有能な検事なら冤罪もないだろうが、無能なくせに出世欲だけは強い検事を想像すれば、マスコミを使って劇場型犯罪に仕立てあげて、出世の道具にする。

そうゆうわけで、原発事故という天罰が下ったわけです。
2012.10.29 Mon l タコ. URL l 編集
引用させていただきました。

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2012.10.29 Mon l タコ. URL l 編集

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