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数日前のことだが、リビアとNATOに関する下記の記事が目にとまった。(強調の下線はすべて引用者による。)

「 NATO空爆のリビア民間人犠牲者は72人、調査必要=人権団体
 国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」は14日、リビアのカダフィ政権に対する軍事介入を昨年実施した北大西洋条約機構(NATO)について報告書を発表し、NATO軍の空爆による民間人の犠牲者が少なくとも72人に上ると指摘した。
 HRWは報告書で、犠牲者には女性20人と子ども24人が含まれるとし、犠牲者に対する補償のほか、違法だった可能性のある攻撃についてNATOが調査を行うべきだと強調した。
 人権団体「アムネスティ・インターナショナル」が3月に発表した推計では、NATO軍の攻撃によるリビアの民間人犠牲者は55人とされていた。
 HRWはNATOが民間人犠牲者を最小限に抑える努力をしたと指摘した上で、同機構は数十人の犠牲者を出した攻撃に関する調査を拒否している、と批判した。 NATOは、昨年10月末に終了したリビアでの軍事作戦について、大きな成功を収めたとの見方を示し、「これまでにないほどの慎重さと正確性を保ち、国際人道法の基準を上回る」作戦を実施したとしている。」(ロイター 12年05月14日18:36JST)

NATOはいまもリビア空爆による民間人犠牲者は「0人」と言い張っているのだという。このような言い分が世界に通用するとご本人たちが高を括っていること、また今のところはそれで通用させてしまっていること自体、何とも言葉がないような気がするのだが、これに対して人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」は民間人犠牲者は少なくとも72人に上ると指摘し、犠牲者に対する補償と違法の可能性のある攻撃についてNATO自ら調査を行うべき、と主張している。また「ヒューマン・ ライツ・ウォッチ」と同じく人権団体の「アムネスティ・インターナショナル」は、3月にNATO軍の攻撃によるリビアの民間人犠牲者は推計55人と発表したようである。

何というか、NATOに対してだけではなく、ヒューマン・ライツ・ウォッチにも、アムネスティ・インターナショナルにも不可解さや疑念を感じずにいられない。あらかじめ三者の役割分担を定めた上での一場の芝居を見ているような気がしないでもない。NATOがリビア空爆において「民間人の犠牲はない」と主張していることについては、昨年下記の記事を読んでいたので知ってはいた。

「 露国連大使 リビア空爆犠牲者 NATOの責任追及 (20.12.2011, 10:11)
 ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は、NATO軍のリビア空爆によって民間人が死亡したことについて、調査を行うよう要求した。ニューヨークで発言したチュルキン大使は、NATOは民間人の犠牲はないという「完全にプロパガンダ的な姿勢」をとった、と指摘している。
 ロイター通信がチュルキン大使の言葉として伝えたところによれば、「第一にそれは絶対にあり得ないことであり、第二にそれは嘘である。」と発言した。」

「 ロシア NATO空爆によるリビア民間人犠牲者の調査を呼びかける (23.12.2011, 17:16)
 ロシアは国連安全保障理事会のリビアに関するブリーフィングで、 北大西洋条約機構(NATO)の空爆で民間人が死亡したことに関する特別調査を国連の後援で実施する必要があると述べた。
 チュルキン大使は、調査は国連あるいは国連の後援で出来るだけ早く実施されるべきだとの考えを表し、発生した事件を分析する必要があり、今後このようなことが繰り返されてはならないと強調した。
 ロシアは、NATOがリビアに関する国連安保理決議の委任から逸脱したと考えている。
 チュルキン大使は、NATOがリビアで行われた作戦を「成功」と考え、今後も同様の作戦の使用を提案していることにロシアは懸念していると伝えた。

このようにロシアは、昨年末時点で、「民間人の犠牲はない」というNATOの主張を「完全にプロパガンダ的な姿勢」「嘘」と断じ、「国連あるいは国連の後援」でリビア民間人犠牲者の調査をするよう要求していた。また、「NATOがリビアで行われた作戦を「成功」と考え、今後も同様の作戦の使用を提案していること」に対する懸念もちゃんと表明していたのだ。また、これと時期を同じくして、国際刑事裁判所も、カダフィ大佐の殺害が戦争犯罪の可能性があることを指摘していた。

「 国際刑事裁判所 カダフィ大佐の殺害は戦争犯罪の可能性もある (16.12.2011, 12:31)
 国際刑事裁判所(ICC)は、リビアの元最高指導者カダフィ氏の殺害について、戦争犯罪だとする「深刻な疑い」がもたれているため、同氏の殺害を戦争犯罪と判断する可能性がある。AP通信がICCのモレノオカンポ主任検察官の言葉を引用して伝えた。
 主任検察官は、リビアの国民暫定評議会に書簡を送り、考えられる全ての戦争犯罪について調査するよう依頼したと伝えた。そこには、国民暫定評議会の支持者らが行った可能性のあるものも含まれる。」

このようなロシアや国際刑事裁判所のしごく当然の指摘・忠告に対し、国連もNATOも(もちろん国民暫定評議会も)誰ひとり誠実な姿勢を見せた者はいなかった。ヒューマン・ ライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルは人権擁護のための団体だというのに、軍事攻撃による民間犠牲者の問題について昨年はなぜ黙っていたのだろう。なぜ今頃になってこのような提起をするのだろう。しかも、民間犠牲者の数を「少なくとも72人」とか「55人」などと述べている。昨年10月、民間犠牲者の数についてリビア国民暫定評議会自ら「3万人」という数字を挙げていたはずだ。

「「 NATOのリビア攻撃で、3万人が死亡 - IRIBラジオ日本語 ( 2011年 10月 28日(金曜日) 16:07 )
 リビアの新保健大臣が、この7ヶ月のNATO北大西洋条約機構の爆撃で、少なくとも民間人3万人が死亡したことを明らかにしました。
 フランス通信によりますと、リビアの情報筋は、28日金曜、この死者の数を、アラブ諸国で起きた革命の際の死者の数よりも多いとしています。 」

報道写真家の中司達也氏は、「NATO軍の出撃は通算26500回を数え、そのうち約9700回の空爆が行われ、およそ6000の標的が破壊された。/空爆と砲撃により、諸都市の基幹インフラは壊滅し、多くの住居が破壊され、医療機関も機能しなくなった。死者は3万人とも見積もられている。15万人という記載もある。」と述べているが、朝日新聞には、「リビア空爆は米軍主導で3月19日に開始。NATOが指揮権を握った3月31日以降、英仏軍を中心に10月20日までに爆撃機が出動した回数は9634」とあり、中司氏の報告とは出動回数において雲泥の差がある。どちらの報告が正しいのかといえば、普通に考えると、中司氏のほうである。なぜなら、8月21日の時点で、NATO自ら「3月31日以来、NATOによるリビアへの出撃回数は19877回に達し、うち7505回が空爆のための出動となっている。破壊した軍事目標は4490カ所に上り、レーダーシステムや倉庫500カ所、指令拠点275カ所、飛行機10機、船10隻、戦車や装甲車両500台以上を破壊した。」と述べているからである。朝日新聞のいう「出動」とはもしかすると「爆撃」のことなのだろうか。このような重大な問題の事実関係については、読者に疑問や誤解の余地をあたえない明晰な書き方をしてもらいたいものである。

リビア国内は7ケ月間という長期にわたって9,000回を超える空からの爆撃を受けているのだ。重要なインフラは壊滅状態にされており、国内が元どおりに復旧し、立ち直るには10年はかかるだろうという指摘がなされているなか、民間人犠牲者が50人とか70人などということがありえるのだろうか。にわかには信じられないのだが、ヒューマン・ライツ・ウォッチは空爆さなかに、そして終息後にも、リビア国内で民間人犠牲者の調査を行なったと述べている。あのような惨状と混乱のなかで、一民間団体がいったいどのような計画を立ててどのような手段を用いれば、「民間人犠牲者は少なくとも72人」という答が出せるだけの調査が可能だったのだろう。何とも不可解な話のように感じられる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチにしろ、アムネスティ・インターナショナルにしろ、人権団体を名乗る以上、もっとリビアの一般市民の立場・観点に立って空爆の実態を追求してほしいと思う。リビア市民よりもNATO側にばかり視線が向いているように感じられるのは、爆撃による民間人犠牲者の規模に関する発言を行なうに際し、一般常識的思考も、また「リビアの新保健大臣が、この7ヶ月のNATO北大西洋条約機構の爆撃で、少なくとも民間人3万人が死亡したことを明らかにしました。」という、他ならぬリビア当局の発表さえ無視した内容の発言を行なっているからである。また、カダフィ殺害が戦争犯罪だという指摘について私などはまったくそのとおりだと考えるのだが、ヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルはどのような見解をもっているのだろうか。HRWは「NATOが民間人犠牲者を最小限に抑える努力をした」とも述べているようであるが、どのような根拠をもってのこの発言なのか、その意図を不審に思う。
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2012.06.08 Fri l 社会・政治一般 l コメント (1) トラックバック (0) l top

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