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文末に追加があります。(3月10日)

ベネズエラのウゴ・チャベス大統領の早過ぎる死を残念とも悲しいとも感じた。訃報を知った多くのベネズエラ市民の心のうちは、このサイトに「チャベス大統領死去 ベネズエラ首都で市民が哀悼」と題して掲載されている7枚の写真にもよく現れているように思った。敬愛してやまない人物を突然奪われた事態への深い悲しみ、嘆き、苦痛が表れていない顔は一つもないように感じる。チリのピネラ大統領は、「 病状が悪化し、彼が治療のためキューバに戻った時、私は彼に電話した。思い出すのはその時に、死が避けられないのなら、愛してやまないベネズエラで迎えたいと彼が語っていたことだ。」(朝日新聞デジタル)と述べているので、チャベス大統領は大分前から自分の死期を覚っていたようでその無念さを思うと胸が痛む。エルサルバドルのフネス大統領は、強力なリーダーシップをもったチャベスの死は中南米に政治的空白を生むだろうと述べつつ、「しかし何よりも、ベネズエラ国民の心にむなしさをもたらすに違いない。」と述べているが、この発言は米国の今後の動向を想像すると気がかりにはなる。

ところで、米国のオバマ大統領はこの度の訃報について、「チャベス大統領死去というこの厳しい時期にあって、米国はベネズエラ国民を支援するとともに、同国政府との建設的な関係の構築に関心があるということを再確認する。ベネズエラが新たな時代に入るに当たり、米国は、民主主義、法による統治、人権尊重を促進する政策に引き続き取り組んでいく」(ロイター・3月6日)と述べている。哀悼の意を表するどころか、邪魔者が死んでくれてやれやれ一安心と言わんばかりに聞える発言だが、それにしても「米国は、民主主義、法による統治、人権尊重を促進する」という言葉が今では何と虚しくひびくことだろう。いったい現在米国のどこに、どの政策にそういうものが欠片でも存在するというのだろう? こういうツッコミやつぶやきはおそらくオバマの発言を耳にするやいなや世界のあちこちで即何万、何十万回もなされたことだろう。

さらに毒々しく底意地の悪い言葉をこれでもかと言わんばかりに並べ立てていたのは、「ウォール・ストリート・ジャーナル」(3月7日)の「【社説】チャベス氏が残した教訓―カリスマ扇動政治家には要注意」(3月 07日)という記事であった。いわく、「同氏の死により、チャベス時代がようやく終わるが、ベネズエラ国民の生活はこれまで悪くなる一方だった。」「1998年時点で、ソビエト連邦はとっくに崩壊し、メキシコからチリまでさまざまな南米諸国は自由市場政策の導入に成功し、チャベス氏が手本としていた友人――キューバのフィデル・カストロ議長――はすっかり信用を落とした時代遅れの人物となっていた。」「ベネズエラ国民、特に貧しい人々の生活は悪くなる一方だった。裕福な国民は海外へ逃げることもできるが、より恵まれない立場にある人々は今、物価統制と資本統制のおかげで日常的に食料・医薬品不足に苦しんでいる。」「首都カラカスの殺人発生率は世界有数となっている。橋や道路は修理が必要な状態にあり、停電も多く、未処理の下水が飲料水を汚染している。」「 チャベス氏は、シリアのアサド大統領やイランのアフマディネジャド大統領と同盟を結んだり、麻薬テロ組織コロンビア革命軍をかくまったり、キューバのカストロ政権に石油を無償供与したり、米国を大声でののしることで国際的に名を上げた。エクアドルやボリビアで政治的な模倣者を生み出すことにも成功した。」等々。

死者を足蹴にするこれらの特異な言葉の羅列のなかでもとりわけ目を引くのは、「ベネズエラ国民、特に貧しい人々の生活は悪くなる一方だった。…より恵まれない立場にある人々は今、物価統制と資本統制のおかげで日常的に食料・医薬品不足に苦しんでいる。」という言葉だろう。悪質な嘘がシャーシャーと発せられているが、これは嘘も百ぺん繰り返せば本当のことになる、という過去のサンプルを忠実に実践しているのだろうか? 大統領の死に際してベネズエラのある市民は「貧しい私たちのために尽くしてくれた大統領に感謝の気持ちでいっぱいです」(NHK7日)と声を詰まらせた。「同国北東部プエルトラクルス(Puerto La Cruz)から駆け付けた女性(62)は、大統領が石油収入を元手に制定した低所得者向け社会福祉制度の1つに触れ、「大統領がキューバから連れてきてくれた医者のおかげで、自分は元気でいられている」と語った」(AFPBB News・2013年 03月07日)。貧しい人たちこそが誰にもまして深くチャベスの死を悼み、悲しんだことは誰でもが感じとっていることだ。

社説記事はまた1998年チャベス大統領が誕生した当時、自由市場政策の導入に成功した南米諸国のなかで、キューバのフィデル・カストロは「すっかり信用を落とした時代遅れの人物となっていた。」とも述べているが、それならば2002年オリバー・ストーン監督がカストロにインタビュー取材したドキュメンタリー映画『コマンデント』を米国はなぜ国内非公開にしたのだろう? 信用を失った時代遅れの人物の映画などあえて公開禁止にする必要などないのではないか? 何より過去数十年にわたり「六百余回の暗殺」という卑劣な試みをつづけたのはいったいどこの国だったのだろう。米国は現在も過酷な経済制裁によって貧しい小国キューバを苦しめつづけているが、その理由も教えてもらいたいものである。第一、「自由市場政策」の残忍な本質を指摘しつづけてきたカストロの洞察、立場が「時代遅れ」などではなかったことは厳然たる事実として今や世界中で確実に証明されつつあるというのが紛れもない現実ではないかと思うのだが?

上記社説はまた「3月5日、ベネズエラ政府は2人の米大使館付空軍武官を強制退去させた。」と非難しているが、2002年のクーデター騒擾時や2004年の選挙時における米国の悪辣な関与を考えれば(こちらの記事参照)、ベネズエラには米国の武官を退去させるに十分な理由があっての措置だったのだろうと見るのは常識の範囲内のことだろう。「後継者と目されているニコラス・マドゥロ副大統領はがんになる毒をチャベス氏に盛ったとして米国を非難している」。確かに荒唐無稽な説のように聞えるが、何しろ無人飛行機を飛ばして敵とみなす数多くの人物を市民もろとも殺害して恥じない米国のこと、その卑劣さこそがこのような憶測を生むのだ。まずは自らを顧みることから始めたらどうかと言いたい。

それからベネズエラの「首都カラカスの殺人発生率は世界有数となっている。橋や道路は修理が必要な状態にあ」るとのことだが、これはおそらく事実だろう。しかし、ベネズエラにおいて50年前、100年前から継続してきた危険な治安や環境を98年以後のたった10数年間を統治したに過ぎない一人の大統領の責に帰することなど不可能であることはあまりに明白で、チャベスへのこの非難は記事執筆者の歪んだ意識の反映以外の何ものでもないだろう。(94年~99年までベネズエラに住んでいたという人のサイト参照。)

日本経済新聞が「時代の終わりを象徴するチャベス氏の死」という題の記事を掲載しているのでクリックしてみたところ、これは「英フィナンシャル・タイムズ紙」のものだった。私はこの言葉をあまりにも的外れ(つまり「時代遅れ」)のように感じて思わずクリックしたのだが、内容は、上記ウォールストリートジャーナルのものとほとんど瓜二つといっていいものであった。こちらがチャベスの死を「時代の終りを象徴する」出来事としている点は、カストロを「時代遅れの人物」とした「ウォール…」の見方に相通じるし、末尾を飾る「 彼は貧しい人たちのことを思い、テレビ伝道師のような華々しさで彼らへの愛を見せ付けた。感動的ではある。だが、彼の死はこの地域にとってよかったとしかいいようがない。」とチャベスの死を言祝ぐ言葉も「ウォール…」の記事にそっくりである。しかし彼らはこういう記事を書くことによって自分たちが「特に貧しい人々」、「より恵まれない立場にある人々」、「この地域」の人たちに対して侮辱の限りをつくしていることに気づいていないのだろうか。それともすべてを計算し尽くした上でこういう非人間的文句を吐き散らかしているのだろうか。それにしても、2001年の9.11以後の米国の度重なる侵略戦争とそれに伴う破壊と大量殺戮、そして米国先導の市場主義経済の拡大により、この国の冷酷な本性が普通の一般市民にも確実に察知されてしまっていることは、今回のウゴ・チャベス大統領の死去に際しても折りにふれてかいま見られたように思える。


追記
藤永茂氏のブログ「私の闇の奥」に「驚くべき映像の数々を見つけましたのでお知らせします。」との言葉とともに下記のサイトが紹介されている。

libia360

藤永氏は「 とにかくチャベスの柩とともに流れる人間たちの巨大な大河をご覧下さい。」と書かれている。皆様ぜひご覧になってみて下さい。

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2013.03.09 Sat l 社会・政治一般 l コメント (4) トラックバック (0) l top

コメント

No title
ニコラス・マドゥロ副大統領の言う「暗殺説」には、念頭にブラジルのジルマ・ルセフ大統領、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ元大統領、そしてパラグアイのフェルナンド・ルゴ大統領等の相次ぐ癌による死去があると思います。
(癌ではありませんが)アラファトの例もあります。
CIAの化学兵器を使った暗殺は以前からも指摘されてきたことですし、あながち「荒唐無稽」とも言えない気がします。
まぁ、暗殺の真偽についてはひとまず置くとして、

「時代遅れ」なのは、未だに南米を「裏庭」と考えているアメリカ政府の方でしょうね。
プロパガンダは国内や同盟国内の「イノセント=無知な大衆」に対しては一定の効果があるとしても、「アメリカ帝国主義の正体」を知り尽くした南米の民衆には、寧ろ逆効果しか産まないでしょう。
アメリカの悪巧みが失敗に終わりそうなシリアの情勢を見れば、「嘘」に基づいた情報戦の限界は既に示されているのではないでしょうか。

蛇足ですが、WBCドミニカ共和国戦で、ベネズエラが哀悼の意を表すための黙祷を申し入れたのですが、認められなかったそうですね。

なんと器量の狭い事!!

2013.03.10 Sun l やす. URL l 編集
やす様
コメントありがとうございます。

> CIAの化学兵器を使った暗殺は以前からも指摘されてきたことですし、あながち「荒唐無稽」とも言えない気がします。

そうですか。信憑性が全然なくはないですか? じつはチャベス自身もかつてそういう疑いを述べたことがありましたね。成功したかしなかったかは分かりませんが、私もそういうことはいかにも米国が考えそうなことではあるように思います。ただ、どういう方法でやるのでしょうか? 昔CIAがカストロを暗殺するのにカストスがよく行くレストランの厨房に潜り込み、デザート(?)に毒薬を入れる計画が成功寸前までいったと聞いたことがありますが、そういう直接的な殺害方法ではなく、遠隔操作による方法なのでしょうか。もしそうだとしたらもっと救いがないですね。暗澹たる思いがします。先程ネット検索をしてみましたら、ボリビアの大統領、ロシアトゥデイも同様のことを述べているとありました。

> プロパガンダは国内や同盟国内の「イノセント=無知な大衆」に対しては一定の効果があるとしても、「アメリカ帝国主義の正体」を知り尽くした南米の民衆には、寧ろ逆効果しか産まないでしょう。
> アメリカの悪巧みが失敗に終わりそうなシリアの情勢を見れば、「嘘」に基づいた情報戦の限界は既に示されているのではないでしょうか。

そういう期待がもてるような気も少ししてきています。
2013.03.12 Tue l yokoita. URL l 編集
反米は倫理的に正しい
こんちは。
チャベスを称して「反米」という形容詞は常につきまとうが、テロ国家アメリカの犯罪に熟知していれば、「反米」とは倫理的に正しいことなど常識である。また野球のWBCで米国野球がチャベスの黙祷を拒否したのはお笑いだが、なんとBSスカパーのテレビ中継(ドミニカ対ベネズエラ)ではアナウサーがベネズエラの選手ゲバラという名前に反応して「怖い」と発言していて大笑いした。多分阿呆アナウサーはチャベス、ゲバラ、カストロなどが怖くて、アメリカがばらまくデング熱は怖くはないのだろう。


▼アメリカの国家犯罪全書
ウィリアム・ブルム著、益岡賢訳
作品社、400ページ、2000円、2003年3月31日発売

第14章 化学兵器・生物兵器の利用――米国外編

頁192――
(5)それから10年後(引用者注:CIAが亡命キューバ人に豚コレラウィルスを手渡し1971年にキューバで豚コレラが大流行、キューバは50万頭の豚を殺処分)、「デング出血熱」(DHF)がキューバで大流行した。このときの標的は人間だったのかもしれない。血を吸う虫、通常は蚊によって伝染するこの病気は、インフルエンザのような症状と何もできなくなるほどの骨痛をともなう。1981年5月から10月までに、キューバで30万件のデング出血熱が発生し、158人が死亡した。そのうち101人は15歳未満の子供であった。
 のちにアメリカ国立疫病防疫センターは、このデング熱は東南アジア発の特定タイプ「DEN-2」であり、キューバにおける発生が、アメリカ大陸地域におけるデング出血熱の最初の大規模な伝染であると報告している。カストロは、米国に媒体となっている蚊を駆除するための殺虫剤を依頼したが、提供してもらえなかったと述べている。
 機密解除された政府文書が示すところによると、米国陸軍は、1956年と1958年に、ジョージア州とフロリダ州で特別に育てた蚊の群を放ち、伝染病を媒介する虫が生物戦争の武器になるかどうか実験したという。実験に使われたのは「ネッタイシマカ」であり、まさにデング熱をはじめとするさまざまな病気を媒介する蚊であった。
 『サイエンス』誌は、1967年、デング熱はメリーランド州フォート・デトリックの米国政府研究所で「かなり研究された病気であり、生物戦争のエージェントと見なされるものの一つであった」と報告している。1984年、ニューヨークで別件の裁判を受けていたあるキューバ人亡命者は次のように証言した。「〔1960年代後半、フロリダからキューバに向かったある船は〕キューバに細菌を運び込む使命を帯びていた。ソビエト経済とキューバ経済に打撃を与えるため、生物攻撃を開始するためだった。その結果は、われわれが期待していたものとは違っていた。というのも、われわれは、それはソ連軍に対して使われるものだと思っていたのであるが、実際にはわれわれキューバ人に対して使われたからだ。それには賛成できなかった」。
 このキューバ人が、細菌兵器の効果をソ連に限定することができると考えていたのか、作戦の背後にいた者たちに騙されたのかははっきりしていない。

2013.03.14 Thu l 檜原転石. URL l 編集
檜原転石 様
檜原さん、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。

>アナウサーがベネズエラの選手ゲバラという名前に反応して「怖い」と発言していて大笑いした。多分阿呆アナウサーはチャベス、ゲバラ、カストロなどが怖くて、アメリカがばらまくデング熱は怖くはないのだろう。

アメリカがばらまくものなら、化学兵器も核も有り難かったりしてネ。それにしても、「ゲバラ」と聞いて「怖い」と反応するとは、若いアナウンサーだったのでしょうか。笑う以外に何ともしようがありませんでしたね。

「アメリカの国家犯罪全書」は大分前に買ってはいるんですが、まだ読んでいません。あまりに分厚くてついのびのびになってしまっています。ただとても良い本のようですね。
2013.03.20 Wed l yokoita. URL l 編集

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