QLOOKアクセス解析
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
去る1月に国連安全保障理事会が北朝鮮の衛星ロケット打ち上げ(昨年12月)に対して2087号制裁決議を採択したと知ったとき、胸のうちに多大なストレスを感じた。これは今も消えていない。何のための宇宙条約なのだ? と思うからだ。米国や韓国、日本などにとってそれがどんなに堪えがたく業腹であろうとも、宇宙条約の加盟国がその規約に則って行動を起こした以上、それを罰するなどということがあってよいはずがない。「悪法も無法に勝る」という言葉があるが、この考え方でいくと、宇宙条約は「悪法」以下の価値と権威しかもっていないことを決議に賛成した国々はそろって認めたことになるのではないだろうか。そもそもこういう恣意的運営をしていたのでは、安保理のみならず国連自体への人々の信頼もいよいよ失われていくことだろう。

北朝鮮の言動はその後エスカレートしているが、このような緊張状態に北朝鮮の政治家と一般市民はいつまで耐えられるだろうか。米国を初めとした大国・強国が北朝鮮のような弱小国に対して、むしろエスカレートさせるように、させるようにと嘲弄的に事を運んでいく姿は本当に残忍さを感じさせる。安倍晋三首相はNHK番組出演の際、「このままだと北朝鮮は間違いなく滅亡への道に進んでいく。金正恩第1書記は政策転換をして繁栄の道に進む英断をすべきだ」、「北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射に関し、「米国も射程に入り、(米国は)『脅威』と初めて非難した。北朝鮮は米国の発信を甘く見ない方がいい」と述べた」(3月15日)そうである。北朝鮮に対してひたすら強硬姿勢で、自ら制裁、制裁と突っ走ってきた人の発言にしては他人事のような言い方だが、「北朝鮮は米国の発信を甘く見ない方がいい」という発言には、米国に追従する方向でしか政治というものを考えることのできない人の本心がよくあらわれているように思う。安倍氏にとっては、米国の思惑だけが重大関心事なのであり、北朝鮮の苦衷などはまったく問題外なのである。

2003年に加藤周一と大江健三郎が雑誌の対談をしており、そこでは核をめぐって北朝鮮の話題も出ていた。最近その内容を思い出して再読してみたのだが、大江健三郎が提言し、加藤周一も賛成しているその会話の内容には私もつくづく共感した。以下に引用する。

「  核の傘から出ること
 加藤 大江さんがいまおっしゃった中に、「帝国」という言葉があります。この言葉は、少なくとも第一次大戦以後は、いい意味では使われないですね。「帝国主義」といえば悪いし、「帝国主義的支配」といえば悪い。私は第一次大戦後に生まれた人間だけれども、私の生涯の中で「帝国」という言葉をいい意味で使った例は知らない。ところが、今年になってから、米国では、真面目な新聞や雑誌の論文などに、「帝国」という言葉がいい意味で出てきている。これは意味論的に言えば画期的だ。「悪いやつはみんなアメリカが征伐してやるから安心しろ」という意識が、デメリカ人の中に出てきている。
 私は、核拡散防止体制が限界に来るのは時間の問題だと思います。なぜなら、合理的な理由づけのない不平等性があまりに激しい。だから、それを固定しようとしても、無理がある。フランスは核を持っている。イタリアは持っていない。「なぜですか?」と言われると困るでしょう。中国は核武装していて安全保障理事会の常任理事国。「どうしてインドの核兵器はいけないのか?」とインド人に言われたら、答える言葉がない。現にインドにも拡散する傾向が出てきている。持つと持たないとの間に、正当化されない合理的な理由なしの不平等があるというのが、不拡散条約風化の理由の一つ。
 もう一つは、核保有国の間での格差がまた大きすぎる。核弾頭の数だけから言っても、10のオーダーと、100のオーダーと、さらに何千発というゼロの三乗の数を持つ国がある。これだけ極端な違いがあると、包括的核実験禁止条約(CTBT)などといっても簡単にいかない。それが現存する極端な不平等を強化するように作用するからです。こういう体制は長くもたない。長期的安定のための唯一の方法は、核廃絶、つまり目標がゼロで、それに向かって何千発も持っている国が具体的なプログラムを示して、それを実行することだけです。現状維持は空想的だ。
日本の場合、核兵器を拡散させたほうがいいという立場ではないけれど、「現状維持で日本は核開発しません」では駄目なのです。世界が減少のほうに向かわない限り不拡散体制が崩れるのは時間の問題ですから、周りの国が核武装した時に日本だけしないのかどうかという問題が出てきてしまう。その問題は解決するのが非常に困難だから、何より日本はそういう問題をつくらないようにすべきなんです。それには世界全体が減少の方向に行くしか道はない。日本は核兵器反対、情勢がおかしくなったら非核三原則を手直しするというのではなくて、逆に徹底させると言えば、合理的に筋が通る。核問題には、ほかに出口はない。
 大江 私も、核兵器を廃絶するには、核兵器を持っている国が、核廃絶に向かって本気で取り組むほかないと思います。実際、「核の冬」の恐怖の認識から、その方向に進みかけたこともあった。そして、冷たい戦争が終わってアメリカとロシアが、核兵器を大幅に削減してゆこうという条約(START)を結んだ。あのとき核廃絶は可能だという気持ちを、私ははじめて持ちました。ところがその勢いが、9.11以後、すっかり背後に退いてしまい、暗い気持ちでいます。
 いまおっしゃった非核三原則を日本が徹底するということはその通りですが、私はあらためて日本は核兵器の被害を被った国として、その被害をよく知っている国として、核兵器に反対する権利があるということをいいたいのです。そして、本当に日本が核兵器反対ということを、特に東北アジアの中国や北朝鮮に対して表明しようとすれば、アメリカの核の傘の中にいるのは、やめなければいけない。
 加藤 もちろんそうです。
 大江 非核三原則を強調する人も、日本がアメリカの核の傘の中にいることへの異議は申し立てません。日本人は、戦後アメリカの核の傘から出て核廃絶に向かう方向を主張しようとはしなかった。日本が北朝鮮を説得できる唯一の道は、日本はこれからすぐ始めて、アメリカの核の傘から脱退する方向に、まず5年間なら5年間、全力を尽くすという約束をすることしかないと思います。
 加藤 核保有の根本的な前提は、国の安全を保つためには核兵器が必要だという考えですね。北朝鮮に「核兵器をつくるのをおやめなさい」と言えば、向こうは「核兵器は自国の安全のために必要だ」と言うでしよう。核兵器は安全のためにあるということを前提にすると、北朝鮮は核の傘に入るか、安全を犠牲にするか、どちらかしかない。それは要求できないと思います。日本の安全のためには核兵器が必要だということを前提にしながら、核兵器の放棄を他国に求めても、意味をなさない。
 大江 その通りです。それはアメリカの核の傘から出てからいうことです。」(「私はなぜ憲法を守りたいのか」『世界』2003年1月号・加藤周一対話集「歴史の分岐点に立って」収載)

「本当に日本が核兵器反対ということを、特に東北アジアの中国や北朝鮮に対して表明しようとすれば、アメリカの核の傘の中にいるのは、やめなければいけない。」という大江健三郎の発言はまったくの正論だと思う。現状で、いくら北朝鮮の核実験非難を繰り返しても、相手が聞く耳を持つはずがない。客観的に見ても無意味で耳障りな雑音にしかならないことは明白だ。 また「核拡散防止体制が限界に来るのは時間の問題だと思」うと語っている加藤周一の言葉はこのときから10年後の現在現実のものになりつつあるのではないか。これは初めて知って驚いたのだが、こちらのブログによると、キューバのフィデル・カストロは、2010年9月24日、カストロを訪ねて会談した北朝鮮の政治家に対して、北朝鮮の核開発を支持すると述べたそうである。

「 気になるニュースがある。9月27日付の朝鮮中央通信(KCNA)によると、キューバ訪問中の北朝鮮のキム・ヒョン・ジュン外務次官が、24日フィデルと会談し、その席上、フィデルが次にように述べたと報道されていることである。
「キューバは、キム・ジョン・イルの先軍政治を、米国の核脅迫から国家主権と社会主義を守るために核兵器を含む強力な戦争抑止力を持つにいたったことを、全面的に支持すると、フィデル・カストロ、キューバ共産党第一書記は述べた」
なお、奇妙なことに、9月22日の朝鮮代表団のキューバ訪問については、キューバ国内で報道されているが、この件については、会談の事実さえ報道されていない。もちろん、朝鮮中央通信の虚偽の報道と考えることはできない。」

上記カストロ発言が事実ならば、カストロ発言の真意として考えられるのは、北朝鮮に対する米国の脅迫が言葉だけでは終わらない可能性が高いと見ていること以外にはないのではないだろうか。同じ年、カストロには韓国の哨戒艦沈没事件に関するこういう発言もあった。

それでは、以前途中まで引用した李泳禧氏の講演の最終部分を以下に引用しておきたい。

「 まず、北朝鮮に対する国家承認をしてほしいとのことでした。米国のキッシンジャー国務長官が1976年に国連安保理で、朝鮮半島の軍事危機は停戦協定体制であるから、これを政治的に解決すれば軍事的脅威が解消できる。ソ連と中国が大韓民国を国家承認すれば、米国が日本と共に朝鮮民主主義共和国を承認し、それと同時に南北朝鮮を共に国連に加入させると公式提案をしたことがあります。
 そうなれば朝鮮半島から軍事的な威嚇が去り、平和が定着するはずだということでした。その政策が即ち「クロス承認・国連同時加入」であります。そうすれば軍事的な要素は消え、政治的な平和構造が定着するとみて世界の国家がみな同意しました。ところがこの1976年に米国が公式的に世界の政治の場である国連総会で提案した南北朝鮮クロス承認が、今はどうなりました? ソ連と中国は韓国を国家承認してすでに数年になります。それどころかソ連は、北朝鮮と締結した軍事防衛同盟を廃棄し、1991年に韓国と国交正常化をしました。中国も同様に大韓民国との友好関係・国家承認・外交関係樹立・国連加入支持などの公約を守りました。ならばクロス承認を提議した米国と日本はどうでしょう? 25年が過ぎた今でも色々な口実、すなわち「核問題がある」、「金倉里地下施設が疑わしいので現場検証をさせろ」、「ミサイル問題がある」などのあらゆる口実を付け、北朝鮮に対する国家承認を拒否しています。ですから北朝鮮が国家承認をしてくれ、ソ連(ロシア)と中共(中国)は韓国を承認したではないかと要求することは、実際問題としても論理的にも正当な要求だといえるでしょう。
 次に、米国の核戦略から北朝鮮に対する核先制攻撃原則を廃棄してほしいという要求です。何の話かよく分からないでしょう? 米国は地球上で40ヵ国以上と軍事同盟を締結しています。日本、韓国、タイ、中南米国家……現在はNATO国家がさらに増えて45ヵ国になりました。その米国が保護しようとする下位同盟国家を攻撃しうる過去のソ連や東欧共産国家に対して、米国がどんな核戦略を維持していたのかというと、相手の在来式軍事力の攻撃に対しては在来式軍事力で対し、核兵器に対しては核兵器で対応するという、いわゆる相互原則でした。ソ連やワルシャワ同盟国家に対しては、在来式武器で軍事行動をしてくる時に米国は核兵器で攻撃するという戦略原則はなかったのです。すなわちソ連と東欧国家には「核先制攻撃」をしないという原則でした。それはみな白人国家を相手にしたものであります。相手が共産主義者であれ何であれ、白色人種国家に対しては厳格に相応して対応する核戦争原理でした。ところが米国は唯一北朝鮮に対してだけは、「核先制攻撃」原則を極めて公開的に宣言していました。すなわち北朝鮮が在来式武器で軍事行動を行っても、米国は即、核で攻撃するという戦略原則を堅持しているのです。これが米国の韓国駐屯軍とその核兵器の用途だったのです。北朝鮮は、常時的な米国の核攻撃脅威を感じている模様です。北朝鮮は米国との核協定に同意する交換条件の一つとして、米国の北朝鮮に対するこの「核先制攻撃」戦略原則の修正を要求しました。
 三つ目は、北朝鮮の社会体制を認めてほしいという要請です。これは、北朝鮮が社会主義国家として生きていく権利を認めてほしいという要求なのです。一国家の体制とは、その国民と政府が選択する権利を持っているのです。にもかかわらず米国がその主権的選択権まで脅かすので、そんなふうに「哀願」したのです。
 四つ目は、米国がこれまで50年間堅持している、北朝鮮に対するあらゆる経済・金融・通商などの禁輸・禁止・包囲政策を解いてほしいというものです。貿易もしなければならず、また北朝鮮に投資したり工場を建てたりするといっているドイツ、英国、フランス……などの国家の企業が、米国が強要している禁止制度と条約のため全く身動きできずにいるため、これを解いてほしいというものです。
 朝米核交渉において北朝鮮が米国に要求したこの四つの条件を見ると、それらは少しも攻撃的な性格ではなく、むしろ生き残るために米国の北朝鮮圧殺政策を解いてほしいと「哀願」するものでありました。北朝鮮と米国間の核交渉は、ざっとこのように進行してきました。結局、北朝鮮の基本的な核凍結受諾の代価として米国が北朝鮮の要求をおおむね承認したものが、1994年10月に締結された「朝米核(ジュネーブ)協定」です。
 ところがこの核協定の内容を、どちらが守り遵守していて、どちらが守らず違反しているかという問題があります。それより前に、皆さんも思い出してみて下さい。米国が途方もない攻撃艦隊を北朝鮮周辺に配置し、われわれに対して、アパッチヘリコプターを買え、地対空ミサイルを買え、このように強要したことがありましたね。それは全て北朝鮮に対する戦争のための準備であり、日本の軍隊にも出動を命じた計画書がありました。朝鮮半島の周辺状況を予想する米国と日本の軍事共同作戦・戦略という「ガイドライン」が、実際には1994年のその時、全て成立したのです。米国が戦争威嚇で核協定条件の受諾を強要するや、北朝鮮は国家的危機を甘受せよという圧力に対しては屈服できないと、核拡散禁止条約脱退意志を表明しました。皆さんが聞かれたのは、核拡散禁止条約から「脱退した」ということでしたね? その度ごとに米国と韓国の報道機関は、アカどもには条約も信義もなく、無条件に全部廃棄してしまうやつらだ、という非難をしました。しかし事実は、脱退したのではありませんでしたね。脱退したのではなく、「脱退する」「脱退する用意がある」と宣言したのです。韓国国民は、その言葉の違いを知らずに米国が主張するまま、北朝鮮が核拡散禁止条約から脱退した、悪い奴だ、条約違反だ、核兵器を勝手に作るという意味だ、このように論理を飛躍させ、途方もない恐怖の雰囲気を作ったのです。
 核拡散禁止条約第10条は、このように明らかに規定しています。「この条約の会員国として、この条約と関連した状況の進展が自国の国家的存立に致命的な危害となる状態であると認定される時には、この条約から脱退しうる権利を持つ。ただし脱退しようとする時には、3ヵ月前に条約当局に事前通告をしなければならない」というものです。北朝鮮は先ほど申し上げたように、1991年末に朝鮮半島で米国の地上核兵器が撤収されたと公式発表があった(12月18日)直後(12月22日)に、即刻国際原子力機構(IAEA)の核査察を受諾すると署名しました。それでIAEAに加入したのですが、米国がイラクに対して行ったように北朝鮮を攻撃する事態になったため、それを「自国の国家的存立に対する致命的な危害」とみなして、核拡散禁止条約第10条の権利により脱退すると、3ヵ月前に公開的に意志表示をしたのです。言い換えれば、北朝鮮はその10条に基づいて3ヵ月後に脱退すると通告したに過ぎないのです。その時米国が行おうとした対北朝鮮軍事攻撃が、その10条に該当する程度であったか否か、これについての解釈は、北朝鮮と米国が互いに異なることは考えられます。しかしながらその判断の主体は北朝鮮であり、米国ではありません。
 このように、戦争の一歩手前まで行った迂余曲折の末、1994年11月に北朝鮮と米国が締結した核協約においては、6ヵ月ごとに双方が守らなければならない具体的措置が規定されています。北朝鮮が一年間、原子炉2基を閉鎖し、そうすると電力がなくなるので、電力を生産しうる油が欲しいと言って、年間50万トンの油を米国が提供することになっているのは、皆さんご存知のはずです。ところが実際は、初年度に50万トン欲しいといったのに一年半、二年近くなっても渡さないので、北朝鮮がこのままでは原子炉を再稼働すると言ったのです。われわれは、このことについて「あいつらアカどもは、あんなふうだ」と言っていましたが、実際は米国が油を2年近く与えていなかったものでした。約束違反を指摘して米国を非難する声は、韓国では一度も聞くことはできませんでした。どちらが協定違反をしているのでしょうか? わが国では、極右反共・反統一・反平和的勢力が前に立ち、『朝鮮日報』をはじめとして、50万トンの油が人民軍戦車、戦闘機燃料として入っていくと反対の声を上げました。事実はそのようなことが可能な状態ではないでしょう。ロシアは北朝鮮に対し、それまでソ連時代に年間100万トンずつ、非常に安価で提供していた油類を、5万トンに減らしました。中国も20万トン程度を、金を受け取って提供していました。戦闘機用燃料は、オクタン98以上の精油でなければなりません。極端に言うと、自動車を動かすガソリンでもオクタン90程度は必要です。協定により北朝鮮に提供する油は、そのようなものではなくナフタです。言わば、どろどろの油です。北朝鮮はこれを燃料の代わりにして、火力発電所を稼動し、電力を生産しようとしているのです。もちろんこれを発電所に使えば、発電所で使われていた別の油を戦車に使うことができるのではないかと言われる方もおられるでしょうが、とにかくそのような供給基準では全くないことを、知る必要があります。
 朝米核協定調印後4年が過ぎて5年目に入ろうとしている今、1999年6月から7月になって協定上の合意通り履行されたとするなら、どの程度にならなければならないか? 北朝鮮は原子炉二基を完全に閉じて、その代わりに米国の代替エネルギーが完全に稼動し、また国際原子力機構の査察が進んであらゆる危険なウラニウムなどは全部なくなり、容れ物だけ残るようになる状態です。これに対応して米国がどのような措置をとるべきであったかというと、前に北朝鮮が要求して米国が同意した経済封鎖、金融・技術封鎖を、既に解いていなければならないのです。また北朝鮮が海外に持っている資産に対しても(米国にあるものはおおむね2200万ドルと把握しているのですが)、封鎖、または禁止を解除しなければなりません。
 協定を締結した3ヵ月後の1995年初めには、大使館の初歩的形態である「連絡事務所」を、それぞれワシントンと平壌に設置することに合意しました。つまり1994年10月に合意をしたのですから、1995年1月には、米国の代表部が即平壌に行っているべきでしょう。そして今頃には、代表部が格上げされて大使関係に移れる政治交渉となっていなければなりません。ところが不幸にも米国では、交渉に調印したところの翌年の総選挙において、共和党が議会を支配するようになりました。行政府はクリントン民主党行政府なのですが、議会は反共・反北朝鮮・反ロシア的な共和党が支配するようになりました。その議会が朝米核協定で決定された合意項目全部に対して、共和党支配の上院の同意を得てはじめて執行できるという付帯条件をつけた決議案を通過させてしまいました。
 そのように米国側の様々な義務は、ほとんど執行されないでいる状況です。昨日新聞を注意深く読まれた方がおられましたら、米国議会で北朝鮮に対するこのような条件を緩和しようという兆しが見られるという小さな記事があったことを見られたでしょう。北朝鮮との核条約執行のための行政府の手が、北朝鮮との関係正常化を絶対に願わない共和党支配の議会によって、がんじがらめにされてしまいました。米国の国務省は北朝鮮側の朝米核協定を「履行している」と言っていますが、議会は頑として北朝鮮の息の根を止めようとする政策を改めようとはしません。日本・韓国・英国が北朝鮮市場に入っていく前に、米国の企業と財閥が入っていかなければならないのに、議会がそのようにすれば米国の損害が大きいとするクリントン政府の説得工作も効果がありません。結局、核心的な問題は北朝鮮側にだけあるのではないという事実、北朝鮮の核問題において、協定締結6年が近づいてもいまだに紛糾が絶えない大きな原因が、米国側にあるという事実です。この事実だけ知っていればいいのです。」(「朝鮮半島の新ミレニアム 分断時代の神話を超えて」社会評論社・2000年)

なお書き遅れましたが、この本の監訳は徐勝氏、訳は南裕忠・広瀬貴子氏のお二人です。
関連記事
スポンサーサイト
2013.03.20 Wed l 社会・政治一般 l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

No title
「北朝鮮」のロケット、核実験にお決まりの脊髄反射をする、
「反原発運動」では「右も左もない」という主張に積極的に乗っかり、レイシスト、ファシストを容易に受け入れてしまう、
「在特会」等の排外主義者によるヘイトスピーチを取り締まる為の法整備の必要性に対しては、「表現の自由を制限する危険性が云々」等と言い出す、
彼ら自称リベラル・左派の思考、行動原理は極めて観念的で、「小児病的」と言わざるを得ません。
「反核」だの「反原発」だの「表現の自由」だのといった「理念」をお題目のように唱えさえすれば、何か社会進歩に携わったような気でいるようです。
現実と大きく乖離してしまい、「観念の虜」となった自称リベラル・左派の思考、行動は、ある種の「自己正当化の為の逃避行動」の様にも見えます。
一方で、極右、ファシズム勢力はずっと現実的です。
社会を動かす為の具体的手段を熟知している。
彼らからすれば「小児病的」リベラル・左派を屈服させるなど、「赤子の手をひねる」様なものでしょう。
この先、この国のあらゆる社会変革運動は極右勢力に取って代わられる気がしてなりません。
2013.03.23 Sat l やす. URL l 編集
やす様
その昔(70年代半ば)、「反日」という言葉を自分たちのグループ名に取り入れて、天皇と日本大企業に侵略戦争の責任を問う活動をした人達がいました。
思慮不足や結果予想の甘さによったと思いますが、その活動のなかで不幸にも彼ら自身思いもよらない予想外の大事を引き起しました。当時私はその人たちに対してつよい反感をもったのですが、その後天皇死去の際に日本政府とマスコミが見せた戦前を髣髴とさせる振舞い、その後の中国や北朝鮮などアジアに対する戦前同様の姿勢などを見るにつけ、彼らはある意味で時代の先駆者だったのではないかという感じをもつようになりました。そういう経過のなかでその人たちの発信が載る冊子を読むようになったのですが、ここ数年-特にこの一年余り、彼らのなかで重だった人には外交問題において米国務省の報道官や日本のメディアとあまり変わらない発言が目につくようになりました。たとえば、カダフィの死について「独裁者の末路はあんなもの」、「中国の反日デモは自国政府に対する不満によるものとの印象がある」、北朝鮮のロケット発射には「ミサイルを発射するより、民衆に食料が十分行き渡るようにすることが先決のはず」といった論調です。自分は(中国や北朝鮮の)政府と民衆とを分けて考えている、と述べていますし、実際そのとおりだろうと思ってはいますが、でもそういう場合に米日韓の責任にはまったくといっていいほど触れませんからね。情報不足の故なのだろうか、それとも…?、と内心このことが最近特にウツウツと気にかかっています。
2013.03.25 Mon l yokoita. URL l 編集

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://yokoita.blog58.fc2.com/tb.php/237-1e71f07e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。